2013年6月26日

今週の第1位は『ダイヤモンド』・・・賢い株の売り方&買い方

週刊ダイヤモンド ... 賢い株の売り方&買い方
日経ビジネス ... 農協支配の終焉
週刊東洋経済 ... 安倍政権の「正体」
週刊エコノミスト ... 金利動乱

 今週は比較的地味な特集が並んだ経済誌ですが、おそらく一番売れるのは『週刊ダイヤモンド』でしょうね。同誌は株特集を組みました。これには見所があって、何週か前に同誌の「経済ニュースを疑え」という特集の中で自誌の株特集を批判していたからです。では、今回の株特集はどうか、ということになるのですが、個人投資家の気持ちをうまく汲み取っての特集になっています。(これでまた、株価がピークを打つかどうかはわかりませんが......)これがやはり今週の第1位でしょう。
 個人的に興味を持って手に取ったのは『日経ビジネス』でした。中身は農協特集です。TPPに揺れる農協の、存在の是非を問うているわけです。これが視点の良さで第2位です。第3位は『週刊東洋経済』で、安倍政権の正体とは何かという特集で、政権を支える人たちへのインタビューを試みています。
 第4位は金利(特に長期金利)の問題に取り組んだ『週刊エコノミスト』です。ご存知のように長期金利が上昇しており、「長期金利を下げるためには長期国債を買えばよい」という理屈がうまくいかなかったその理由を分析しています。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  自己批判した株特集で訴えること

 5月、『週刊ダイヤモンド』は「経済ニュースを疑え!」という特集を組んだ。そこで「週刊ダイヤが株特集を組むとなぜ株価はピークを打つのか」と自戒を込めて語られているが、今週いよいよその「株」特集を持ってきた。題して「乱高下相場で勝ち残る!賢い株の売り方&買い方」だ。アベノミクス相場で昨年末以来再び株式投資に戻ってきた人たち、アベノミクス相場に乗ってみたら急落して含み損を抱えた人たち、20年来の塩漬け株をなんとか解消したい人たち。そんな、株式市場に何らかの形で参入している「悩める」個人投資家向けの、心構えを説く指南書の趣だ。
 まずは山崎元氏と小幡績氏の対談。専門家も「冷静な判断が必要」という状況なのだなと納得。次は「株の悩み診断チャート」で自分の読むべきページへと進む。ちなみに多くの人が陥っている「悩み⑥塩漬け株をどうしたらいい?」を読むと「失敗体験から学び次の投資に生かせ」とのご託宣。株価チャートの読み方なんかもついている。
 読みどころはPart2.「日本を翻弄する海外ヘッジファンドの裏側」だ。得意の図解で得体の知れないイメージのヘッジファンドの全体像が見える。もう1つ、さわかみ投信会長・澤上篤人氏への短いインタビューも面白い。投資の正論が心地よい。


第2位
■日経ビジネス■ <<<  農協はすでに死んでいる!?

 今週の『日経ビジネス』は、「農協支配の終焉 こうすれば日本の農業は勝てる」として農協の現状と問題点を特集した。
 TPP問題を契機に国の主要政策に躍り出た農業。産業界からの注目度も高い。4月には『週刊ダイヤモンド』も「実は強いぞ!日本の農業」という特集を組んだ。その農業のダイナミズムを阻害している存在......それが農協になってしまっているのが現状ではないのか。そう問いかける特集となっている。
 JAバンクの貯蓄総額は2013年4月時点で90兆円。みずほフィナンシャルグループと肩を並べる規模だという。それが農家の繁栄のための投資として有効に循環するなら意義あることだが、本誌で貸し出し内訳を読むとちょっと驚く。2011年度データによれば、まず貸出しに回す貯貸率は約23.8%で21兆4285億円(農水省・総合農協一斉調査)。そのうち33.5%が住宅ローンとして貸し付けられ、次いで農地を宅地整備するなどの建設資金が19.6%、「農業資金はたったの3.8%」だという。単純計算で全体の1%。農協が脱農業化しているのが現状だ。
 特集では、農協のライバルとして台頭するAmazonや丸紅、脱・農協に転換する農家や農業法人を紹介し、JA全中・萬歳章会長へのインタビューも掲載する。日本人の食を支える農業は本当に大切な産業だ。巨大組織・農協こそ古い体質を捨て、本気で日本の農業のパワーアップに尽力できないものか。
 第2特集は「熱狂顧客の育て方」。AKB48の総選挙を例にあげ、熱狂顧客(コアユーザー)に重きをおいたビジネスモデルを紹介。しかしながら、熱狂顧客ビジネスの最右翼、ソーシャルゲームが取りあげられていない。特集としては、減点だ。


第3位
■週刊東洋経済■ <<<  竹中平蔵は復活するか?

 なにごとも成功するに越したことはないが、そうは問屋が卸さない。失敗することもままあるわけだが、この国は失敗に厳しく、その次がないことが多い。いわんや内閣総理大臣をや、という視点で考えると、安倍首相の返り咲きは日本を超越した稀有な例なのだろう。第2次安倍内閣は、半年を経ても6〜7割の内閣支持率を維持している。
 というわけで、今週の『週刊東洋経済』の特集は、「安倍政権の『正体』」である。アベノミクスで支持を集め、このままの勢いがあれば参院選も勝つだろう。そんな安倍政権を支える人たちと今後のシナリオを特集しているのだ。
 まず特集の目次を見てみよう。ずらりと並ぶインタビュー。リフレ派の急先鋒、浜田宏一・米イェール大学名誉教授。経済政策の司令塔、甘利明・経済再生担当相。特区構想で返り咲きなるか、竹中平蔵・慶応義塾大学教授。安倍首相の財界での後見人、牛尾治朗・ウシオ電機会長等々。蒼々たる顔ぶれであり、産官学入り乱れての様相を呈している。これぞまさしく安倍政権の正体。問題はこれが吉と出るか凶と出るか。
 そこで、特集はそのシナリオの将来を予測していく。「3本の矢」は勿論のこと、「竹中イズムの復活」、「『族議員』の盛り返し」、「消費増税先送り」などがどうなっていくのか。
 海外のSF映画張りに「I'll be back」したアベちゃん。ここが正念場であることだけは間違いない。第2特集は「会社売却のススメ」。会社売却は戦略であり、団塊の世代の経営者の多くが引退に向けて動いている今、会社をどういう形で承継していくのかは喫緊の課題でもある。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<<  長期金利上昇の誤算

 株価は急落しても、まだまだ強気の買いが入る。それは、今後のアベノミクスへの期待があるからだ。しかし、金利はそうもいかない!? 
 今週の『週刊エコノミスト』の特集は「金利動乱」。株価同様、乱高下した金利。しかしながら、超低金利による「国債バブル」は終わりを迎えるかもしれない。
 ここには日銀、そして黒田総裁の誤算があったと記事は伝える。異次元金融緩和で行なわれた「長期金利を下げるためには長期国債を買えばよい」という理屈が間違っていたのだ。大量買い入れで変動率が高まり、すると積極的な取引を控える。そのため、少量の売り買いでも値が大きく動きやすくなるという理屈である。異次元緩和は「時間を買う」政策に過ぎない。株価も金利も安定させるためには、成長戦略が肝であることは論をまたない。
 特集では、この長期金利上昇が株・為替、金融機関、住宅ローン、財政他にどのような影響を及ぼすかについても言及していく。
 また、この手のテーマについて分かったようで分からない人向けに「基礎から分かる日本国債と金利」などの記事もあって初心者にはちょっと親切。「国債の発行方法は?」や「国債と金利の関係」などなど。いっそのこと、他誌がよくやる経済入門特集のように冒頭に持ってきてもよかった?

(2013年6月26日)