2013年6月26日

今週の第1位は『ダイヤモンド』・・・賢い株の売り方&買い方

週刊ダイヤモンド ... 賢い株の売り方&買い方
日経ビジネス ... 農協支配の終焉
週刊東洋経済 ... 安倍政権の「正体」
週刊エコノミスト ... 金利動乱

 今週は比較的地味な特集が並んだ経済誌ですが、おそらく一番売れるのは『週刊ダイヤモンド』でしょうね。同誌は株特集を組みました。これには見所があって、何週か前に同誌の「経済ニュースを疑え」という特集の中で自誌の株特集を批判していたからです。では、今回の株特集はどうか、ということになるのですが、個人投資家の気持ちをうまく汲み取っての特集になっています。(これでまた、株価がピークを打つかどうかはわかりませんが......)これがやはり今週の第1位でしょう。
 個人的に興味を持って手に取ったのは『日経ビジネス』でした。中身は農協特集です。TPPに揺れる農協の、存在の是非を問うているわけです。これが視点の良さで第2位です。第3位は『週刊東洋経済』で、安倍政権の正体とは何かという特集で、政権を支える人たちへのインタビューを試みています。
 第4位は金利(特に長期金利)の問題に取り組んだ『週刊エコノミスト』です。ご存知のように長期金利が上昇しており、「長期金利を下げるためには長期国債を買えばよい」という理屈がうまくいかなかったその理由を分析しています。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  自己批判した株特集で訴えること

 5月、『週刊ダイヤモンド』は「経済ニュースを疑え!」という特集を組んだ。そこで「週刊ダイヤが株特集を組むとなぜ株価はピークを打つのか」と自戒を込めて語られているが、今週いよいよその「株」特集を持ってきた。題して「乱高下相場で勝ち残る!賢い株の売り方&買い方」だ。アベノミクス相場で昨年末以来再び株式投資に戻ってきた人たち、アベノミクス相場に乗ってみたら急落して含み損を抱えた人たち、20年来の塩漬け株をなんとか解消したい人たち。そんな、株式市場に何らかの形で参入している「悩める」個人投資家向けの、心構えを説く指南書の趣だ。
 まずは山崎元氏と小幡績氏の対談。専門家も「冷静な判断が必要」という状況なのだなと納得。次は「株の悩み診断チャート」で自分の読むべきページへと進む。ちなみに多くの人が陥っている「悩み⑥塩漬け株をどうしたらいい?」を読むと「失敗体験から学び次の投資に生かせ」とのご託宣。株価チャートの読み方なんかもついている。
 読みどころはPart2.「日本を翻弄する海外ヘッジファンドの裏側」だ。得意の図解で得体の知れないイメージのヘッジファンドの全体像が見える。もう1つ、さわかみ投信会長・澤上篤人氏への短いインタビューも面白い。投資の正論が心地よい。


第2位
■日経ビジネス■ <<<  農協はすでに死んでいる!?

 今週の『日経ビジネス』は、「農協支配の終焉 こうすれば日本の農業は勝てる」として農協の現状と問題点を特集した。
 TPP問題を契機に国の主要政策に躍り出た農業。産業界からの注目度も高い。4月には『週刊ダイヤモンド』も「実は強いぞ!日本の農業」という特集を組んだ。その農業のダイナミズムを阻害している存在......それが農協になってしまっているのが現状ではないのか。そう問いかける特集となっている。
 JAバンクの貯蓄総額は2013年4月時点で90兆円。みずほフィナンシャルグループと肩を並べる規模だという。それが農家の繁栄のための投資として有効に循環するなら意義あることだが、本誌で貸し出し内訳を読むとちょっと驚く。2011年度データによれば、まず貸出しに回す貯貸率は約23.8%で21兆4285億円(農水省・総合農協一斉調査)。そのうち33.5%が住宅ローンとして貸し付けられ、次いで農地を宅地整備するなどの建設資金が19.6%、「農業資金はたったの3.8%」だという。単純計算で全体の1%。農協が脱農業化しているのが現状だ。
 特集では、農協のライバルとして台頭するAmazonや丸紅、脱・農協に転換する農家や農業法人を紹介し、JA全中・萬歳章会長へのインタビューも掲載する。日本人の食を支える農業は本当に大切な産業だ。巨大組織・農協こそ古い体質を捨て、本気で日本の農業のパワーアップに尽力できないものか。
 第2特集は「熱狂顧客の育て方」。AKB48の総選挙を例にあげ、熱狂顧客(コアユーザー)に重きをおいたビジネスモデルを紹介。しかしながら、熱狂顧客ビジネスの最右翼、ソーシャルゲームが取りあげられていない。特集としては、減点だ。


第3位
■週刊東洋経済■ <<<  竹中平蔵は復活するか?

 なにごとも成功するに越したことはないが、そうは問屋が卸さない。失敗することもままあるわけだが、この国は失敗に厳しく、その次がないことが多い。いわんや内閣総理大臣をや、という視点で考えると、安倍首相の返り咲きは日本を超越した稀有な例なのだろう。第2次安倍内閣は、半年を経ても6〜7割の内閣支持率を維持している。
 というわけで、今週の『週刊東洋経済』の特集は、「安倍政権の『正体』」である。アベノミクスで支持を集め、このままの勢いがあれば参院選も勝つだろう。そんな安倍政権を支える人たちと今後のシナリオを特集しているのだ。
 まず特集の目次を見てみよう。ずらりと並ぶインタビュー。リフレ派の急先鋒、浜田宏一・米イェール大学名誉教授。経済政策の司令塔、甘利明・経済再生担当相。特区構想で返り咲きなるか、竹中平蔵・慶応義塾大学教授。安倍首相の財界での後見人、牛尾治朗・ウシオ電機会長等々。蒼々たる顔ぶれであり、産官学入り乱れての様相を呈している。これぞまさしく安倍政権の正体。問題はこれが吉と出るか凶と出るか。
 そこで、特集はそのシナリオの将来を予測していく。「3本の矢」は勿論のこと、「竹中イズムの復活」、「『族議員』の盛り返し」、「消費増税先送り」などがどうなっていくのか。
 海外のSF映画張りに「I'll be back」したアベちゃん。ここが正念場であることだけは間違いない。第2特集は「会社売却のススメ」。会社売却は戦略であり、団塊の世代の経営者の多くが引退に向けて動いている今、会社をどういう形で承継していくのかは喫緊の課題でもある。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<<  長期金利上昇の誤算

 株価は急落しても、まだまだ強気の買いが入る。それは、今後のアベノミクスへの期待があるからだ。しかし、金利はそうもいかない!? 
 今週の『週刊エコノミスト』の特集は「金利動乱」。株価同様、乱高下した金利。しかしながら、超低金利による「国債バブル」は終わりを迎えるかもしれない。
 ここには日銀、そして黒田総裁の誤算があったと記事は伝える。異次元金融緩和で行なわれた「長期金利を下げるためには長期国債を買えばよい」という理屈が間違っていたのだ。大量買い入れで変動率が高まり、すると積極的な取引を控える。そのため、少量の売り買いでも値が大きく動きやすくなるという理屈である。異次元緩和は「時間を買う」政策に過ぎない。株価も金利も安定させるためには、成長戦略が肝であることは論をまたない。
 特集では、この長期金利上昇が株・為替、金融機関、住宅ローン、財政他にどのような影響を及ぼすかについても言及していく。
 また、この手のテーマについて分かったようで分からない人向けに「基礎から分かる日本国債と金利」などの記事もあって初心者にはちょっと親切。「国債の発行方法は?」や「国債と金利の関係」などなど。いっそのこと、他誌がよくやる経済入門特集のように冒頭に持ってきてもよかった?

(2013年6月26日)

2013年6月25日

【来た!見た!書いた!】復興マネーも異次元緩和もが証明した「供給するだけではお金は回らない」

異常なほど増加した東北3県地銀の預金残高

 東日本大震災からの復旧・復興の過程にある東北地方。政府や自治体は多額の予算を用意して被災地の集団移転を計画し、災害公営住宅を整備するなどしている。だが住民の合意が進まなかったり、人件費が高騰して工事が思うようにできなかったりして、復興の作業は計画通りには進んでいない。
 そのことを示す1つの興味深い指標が、東北の被災地に本店を置く地方銀行の預金残高の推移だ。6月10日の日本経済新聞の夕刊によると、岩手、宮城、福島の3県の地方銀行8行の合計預金残高は、2013年3月期末に19兆8000億円と、震災直後の2011年3月期末に比べ約5兆円、33%も増えたという。

 全国地方銀行協会がまとめた全国の地銀63行の2011年3月期末の預金残高は1年前に比べ2.6%の増加だった。預金残高の増減は通常、せいぜいこの程度の動き方だ。2年前に比べ預金が33%も増えるというのは、空前の膨らみぶりといっていい。
 その原因は、被災した自治体が国から受け取った復興交付金などの公金を銀行に預け入れたものの、当面は使い道が限られるためそのままにしているからだ。
 被災地の個人も同じような事情を抱える。原子力発電所事故の賠償金などを得た個人が銀行に預け入れたが、災害公営住宅などの造成が進まず、住宅の購入までには至っていないのだ。


大掛かりな金融緩和を行なってもダメなものはダメ

 銀行は預金が膨らむ一方で、資金の運用先はなかなか見つからない。3県の8行の貸出金残高は今年3月期末で計10.7兆円と、11年3月期末に比べ10%、9400億円の増加にとどまった。復興の遅れで資金需要が弱い。
 その結果、預金がどれだけ貸し出しに回ったかを示す預貸率は8行全体で54%と、11年3月期末に比べ12ポイント下がった。地銀の平均である70%を大きく下回る。
 これらの数値は、被災地の自治体や個人にいくら復興交付金などのお金を供給しても、お金を使う環境(復興計画)が整っていなければ、被災地の中でお金は回らず、金融機関の預金に滞留してしまうことを示している。
 4月4日に日本銀行の黒田東彦総裁が決めた「大がかりな金融緩和=異次元緩和」についても、同じように「供給するだけではお金は回らない」ということがいえるだろう。
 大がかりな金融緩和は、日銀が世の中に供給するお金の量である「マネタリーベース」を年間60兆円から70兆円も増やし、2014年末の残高を2012年末の2倍に当たる270兆円に増やすものだ。
 マネタリーベースは、世の中に出回っているお札の量(日本銀行券発行高、2012年末で87兆円)と硬化の量(4.5兆円)を合わせた「現金通貨」と、銀行が日銀の中に持っている口座である「日銀当座預金」(同47兆円)を合わせたもので、2012年末時点では138兆円に達している。


日銀の思惑通りに「コト」は進んでいない

  お札は国立印刷局が刷って、日銀がそれを引き取る。日銀は、各銀行が持っている国債や上場投資信託(ETF)などの資産を買って、お札で支払う。このときの日銀から銀行への振込先が日銀当座預金だ。日銀にとっては、こうやって銀行の持つ資産を買い集めることが、お金を社会に供給する、マネタリーベースを増やすことになる。
 銀行から見れば、日銀当座預金にお金がたまったままになっても、無利子だったり、ごくわずかな利子だったりするので、もったいない。そこで銀行は今まで以上に、企業や個人にお金を貸し出そうとする。そうすれば、世の中でぐるぐると回るお金の総量(マネーストック)も大きく増える。物に対してお金の量が増えれば物価が上昇し始め(インフレになり)、景気もよくなるはず――というのが日銀の見立てだ。
 だが少なくとも今までのところ、日銀の思惑通りには進んでいない。
 日銀が5月半ばに発表した4月のマネーストック(通貨供給量、月中平均残高)速報によると、世の中に流通する現金や国内銀行などへの預金の総量(M3)は前年同月比2.6%増の1052兆円だった。
 伸び率は5カ月連続で拡大しているが、前月からの拡大は0.1ポイントにとどまった。日銀が異次元緩和で「マネタリーベースを2年で2倍にする」と意気込んだものの、世の中で回るお金の総量であるマネーストックの伸びはわずか。異次元緩和による「効果」はまだみえていないのだ。


下がるはずが上がってしまった長期金利

 日銀は今回の異次元緩和で、従来の「満期までの期間が3年まで」のものだけでなく「40年債を含むすべて」と長い期間の国債も買う対象にした。満期までの期間がより長い国債の利回り=長期金利を下げて、企業が工場を建てるときの設備投資資金や、個人が家を建てるときの住宅ローンを借りやすくする狙いだった。
 ところが異次元緩和があまりにも大規模だったため、長期の国債の利回り=長期金利は乱高下したあと、緩和前よりも若干上がっている。
 異次元緩和でもマネーストックがあまり増えなかったり、長期金利が乱高下してむしろ緩和前より上がったりしているのは、マーケット=社会が供給されたお金を生かし切れていないことを示している。
 企業や個人は工場や住宅の新設など「投資の機会」がなければ、いくらお金を低利で貸し出すといわれても、借り手にはならない。東北の復興マネーも、日銀による異次元緩和も、その当たり前のことを改めて実証した。

(2013年6月25日)

2013年6月19日

今週の第1位は『ダイヤモンド』・・・解剖 稲盛経営

週刊ダイヤモンド ... 解剖 稲盛経営
日経ビジネス ... 社員(あなた)は見られている
週刊東洋経済 ... 会社を変える会議
週刊エコノミスト ... バブルの研究

 今週の経済誌はそれぞれが異なったテーマに取り組んでいました。そのなかで、面白かったのは稲盛和夫という経営者を特集した『週刊ダイヤモンド』でしょうか。京セラやKDDIを創業し、そしてJALを蘇らせた実績は誰も文句を付けないでしょう。稲盛さんが主宰する盛和塾出身の経営者も数多く、ゆえに稲盛教などと呼ばれたりもしています。正直なところ、JALについては心配していましたが、それも見事に再建したのですから、やはりすごい人です。稲盛さんに学びたいと思う経営者は多いのでしょうね。これが、今週の第1位です。
 続くは『日経ビジネス』でしょうか。特集のテーマは「監視社会」です。マイナンバー法案が5月に国会で成立して、俗にいう国民総背番号制が現実にものになることになったことと、SNSの発展進化によって自分の履歴がかなり見られるようになり、またそれをビッグデータとして使うことが進められている現状を考えれば、これはタイミングのいい企画と言えるでしょう。
 そして3位は『週刊東洋経済』です。会議をかえれば会社は変わるというのが特集の趣旨で、これはこれで面白い企画ではありました。でも、これって永遠のテーマですし、いろいろな会社の過去のさまざまな取り組みが目に浮かぶ分、若い人向けかな? とも思ってしまいます。
 第4位の『週刊エコノミスト』の特集は「バブル」です。ちょっと早いかな、とも思いますが、これでアベノミクスが失速するのであれば、それはもうバブル以前の話なのですから。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  稲盛和夫とは何者か

 今週の『週刊ダイヤモンド』は、京セラとKDDIの創業者にして、JALをV時回復させた稀代の名経営者・稲盛和夫さんの特集だ。題して「稲盛経営 解剖」。表紙は往年の『週刊ダイヤモンド』の読者には懐かしいご本人を描いたイラストレーション。この雑紙がB5判だったころ、は毎号こんな経営者のイラストが表紙を飾っていた。
さて、「人間として何が正しいかで判断する」経営を実践するこの方の人気は根強い。これは売れるのではないだろうか。
 ご本人へのインタビューから特集は始まる。また、特集トビラでは「稲盛経営を読み解く3つのキーワード フィロソフィ・アメーバ経営・成功のための方程式」がシンプルにまとめられ、稲盛さんの著作や実績をよく知っている人にも、初めての人にも興味深く読める構成だ。小手先の経営テクニックではなく、「人間として何が正しいか」という"フィロソフィ"の大切さを説くその姿には、日本人の良き特質が体現されているように感じ、武士であり偉大な宗教家のようでもある。
 パート1「稲盛和夫とは何者か」、パート2は「哲学と実学の実践現場」、パート3は「稲盛流『成功の方程式』」。これらの章から稲盛氏の歩み、哲学の片鱗、彼を師と仰ぐ経営者と企業のレポートが続く。ロングセラーが多いというお薦めの著作も掲載されている。
 第2特集は「"アベノミクス"失速!? 骨抜きの成長戦略」。「雇用」・「保育」・「農業」・「医療」の4つに対して、骨抜きと指摘し、期待と現実の差を露にした。


第2位
■日経ビジネス■ <<<  よい監視社会と悪い監視社会

 日本は1995年の地下鉄サリン事件以降、アメリカは2001年の同時多発テロ事件以降、安心・安全の旗印の下、社会の監視化が進められてきた。今週の『日経ビジネス』は、その流れの中で進展してきた企業による社員の監視を特集する。タイトルは「社員(あなた)は見られている ここまで来た監視社会の現実」だ。大企業や、情報のセキュリティを売り物にしている会社では、いまや普通に行なわれている社員の行動記録システムだが、中小企業で導入しているところはなかなかない。しかし、中小企業も蚊帳の外ではない。企業も、税務署や信用調査会社、警察や公正取引委員会、そして産業スパイという監視者に取り囲まれているからだ。
 特集では「9割が防犯カメラの設置に賛成」というデータから、社会を監視する「今の流れは止まらない」と結論づけている。そして『日経ビジネス』が出した結論を紹介しよう。「超監視社会に備えすべきこと」企業編①セキュリティを改めて強化②社員監視のルールを決める③まっとうな経営をする。社員編①私的利用はNG行為と再認識②品行方正に生きる③監視社会の暴走に目を光らせる。......企業がまっとうな経営をする!人が品行方正に生きる!当たり前やないかい!と、『週刊ダイヤモンド』に登場した稲葉和夫さんに怒られそうだ。
 第2特集は「周回遅れのネット選挙」。公職選挙法が改正され、ようやくこの夏から解禁となった「ネット選挙」を取り上げた。 


第3位
■週刊東洋経済■ <<< 会議のやり方を変える

 今週の『週刊東洋経済』の特集は「会社を変える会議」。「日本人は会議好き」なんて言葉はよく聞くが、ならばその会議の質を上げよう、というちょっと目先が変わった特集だ。そういえば今週は4誌ともに第1特集のベクトルがバラバラで、バラエティーに富んでいる。
 パート1の「会議を変えれば会社は変わる」。ここでは技あり会議の具体例が掲載されている。1社紹介しよう。今号表紙にも使われているサイバーエージェント。年間80ものスマートフォンサービスを生むメガベンチャー。そこには会議への施策が溢れている。まずは「ダカイゼンルーム」。これは、内装の違う「打開の間」と「改善の間」という会議室の名称で昨年末に設置されたものだ。解決する問題の大きさによって、部屋を選ぶ。そして、そこで行なわれ、今回紹介されるのが「ブレストランチ」。特集では、その一部始終をのぞくことができる。日産自動車の課題解決会議「V-upプログラム」ほか、10社弱の具体例が読める。会議を変える施策が並んだ本特集。ヒントになる方々も多いのではないか。
 第2特集は「パズドラの破壊力」。電車の中でよそ様の携帯が目に入ると、パズドラやっている人が多い! 累計ダウンロード数は1400万件を超えるんだそうです。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<<  バブルって何?

 一転、不安げな記事が連なるようになってきた経済誌だが、今週の『週刊エコノミスト』の特集は「バブルの研究」である。
 まだバブルにすらなっていないのにと思う反面、このまま落ちていくことの不安がこうした特集を生む。昨年末、解散総選挙からの安倍政権で円安・株高。「三本の矢」とよばれる経済政策と共に、「アベノミクス」に沸き、黒田日銀総裁の異次元緩和などもあってそのアベノミクスへの評価も上がっていった。そんな中で起こった、5月半ばの株価急落である。その後、株価は4月水準までも持ち直したものの不安要素は十分。だからバブルを研究しておこうというのだろう。
 特集の中で、バブルになる条件として、シティグループ証券・藤田勉副会長は「バブルへの三本の矢」をあげる。低金利・低インフレ・好景気(高成長)だ。世界同時緩和が低金利をもたらし、低インフレでも現在はバブルの萌芽と言えるということなのだろう。でもそんな理屈はさておき、株価が上がれば、売りたくなる人はいるわけだし、3本の矢の一番のキーファクターである成長戦略の中身が世界中から失望を買ったわけだし、ここいらで本当の「アベノミクス」を掲げなければ、バブル前崩壊になりかねないのは事実でしょう。

(2013年6月19日)

2013年6月11日

今週の第1位は『週刊東洋経済』・・・起業100のアイデア

週刊東洋経済 ... 起業100のアイデア
週刊ダイヤモンド ... もうダマされない!歯医者の裏側
週刊エコノミスト ... 中国・韓国の悲鳴
日経ビジネス ... 沸騰 ・ 不動産次の風景

 今、それほど大きく取りあげられていませんが、ベンチャーがブームだというのをご存じですか? 実は、IT系を中心として利益を上げている企業の多いこと。だからベンチャー企業の異業種交流会も盛り上がっています。というわけで、今週の経済誌で面白かったのは『週刊東洋経済』でした。特集のテーマは「起業」。というより起業家群像といいましょうか。私たちが発行する『CEO社長情報』で取りあげた企業も多く掲載されていました。
 第2位は歯医者を取りあげて特集に下『週刊ダイヤモンド』です。コンセプトは「だまされない」確かにまじめな歯科をよそ目に危ないインプラント手術で儲けている歯科も多いと聞きます。しかし、根本にあるのは歯科医師が多すぎることではないでしょうか。
 第3位は『週刊エコノミスト』です。特集のテーマは中国と韓国。2つの国の経済が低迷している原因を(両国ともその原因としてに本の金融緩和政策による円安をあげていますが)根本から探るという特集です。
 そして第4位は『日経ビジネス』で特集のテーマは不動産です。しかし小ぶりの特集で首都圏に焦点を当てているので、今ひとつの感は拭えませんでした。

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第1位
■週刊東洋経済■ <<<  100人の起業家の顔をみてみよう

「この国には起業家がもっと必要だ!! 起業100のアイデア」。今週の『週刊東洋経済』の特集タイトルだ。つまり『週刊東洋経済』が紹介するベンチャー企業100!。弊社『CEO社長情報』にも登場したベンチャー企業が何社も登場する。昨年秋、『日経ビジネス』が「100シリーズ」と銘打ち、「日本を救う次世代ベンチャー100」を特集し、そのパワフルな内容を絶賛したが、約8ヵ月経て、起業家の顔ぶれや注目分野はどう変化したのだろうか。また、雑誌独自の視点はどこにあるのか? そんなことを考えながら読ませてもらった。40ページ超の特集だ(『日経ビジネス』もほぼ同じボリュームだった)。
「ここ最近、ベンチャー企業の活躍が目立つようになったのは偶然ではない」との一文から始まる。ネットや通信の技術革新が相次ぎ、以前より多様な分野で起業しやすくなっている。また、少額の投資で企業を支援する動きも活発だ。<金融>、<教育/学習>、<情報/メディア>、<クリエイター/求人>、<メーカー/デバイス/テクノロジー>、<ファッション/食>、<各種サービス>、<ウェブ/広告>の8つのフィールドに分け、1社400〜800字で紹介していく。アイデアを事業につなげた100人の起業家の顔を眺めるのも楽しい。
 この特集の読みどころは、他にもある。まず、起業への知識と経験をもつ社長へのインタビュー記事だ。南場智子 ディー・エヌ・エー ファウンダー取締役、坂本孝 俺の株式会社社長、藤田晋 サイバーエージェント社長と蒼々たる顔ぶれが並ぶ。活性化するVCの活動も「ベンチャー支援のいま」、「事業会社がベンチャーに投資するワケ」にレポートされていて読み応えがある。「1000社以上を生んだノキアのリストラ支援プログラム」などの記事も面白い。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  歯科医の供給過剰

 多いなあ...と感じる国内のコンビニエンスストア数はだいたい5万件弱。それに対し、歯科医院は7万件弱。歯科医は10万人当たり50人が適正とされるそうだが、いまや80人。完全に供給過剰だ。しかも予防意識の高まりで虫歯は減り、歯科医療費は財政的に厳しく抑制されている。歯科医過剰→診療所の経営悪化→患者争奪戦→自由診療&保険診療トラブル→患者の不信と、負の連鎖を招いている。しかし患者側はいい歯科医、信頼できる歯科医との出会いを求めている。
 今週の『週刊ダイヤモンド』第1特集は、「もうダマされない!歯医者の裏側」だ。特集は歯医者と業界の実態を知り、読者が良い医者と治療方法へたどり着けるように情報満載だ。話題のインプラント、その他の最新技術、治療費のカラクリや医者の見分け方を紹介する。インプラントに関しては、全国のインプラント対応医療機関一覧を掲載。年間治療本数や対応している術式・保有装置、費用などを並べる。また、特集の最後では「歯医者・歯科大の末路」を紹介。供給過剰の現状にもかかわらず、学生集めに躍起になる大学。そのためキャンパスには留学生と留年生が溢れるところもあるようだ。
 第2特集は「成長続く最後の市場 アフリカで勝つ方法」。『日経ビジネス』の「現地徹底取材 アフリカ」が記憶に新しい、アフリカ。本特集でも、投資先としての将来性と日本の出遅れが指摘される。つけ毛市場で成功するカネカは、『日経ビジネス』に続き『週刊ダイヤモンド』でも紹介されている。

第3位
■週刊エコノミスト■ <<<  円安の影響だけじゃない中韓の低迷

 今週の『週刊エコノミスト』は「中国・韓国の悲鳴」。高い経済成長を続けてきた両国が今、転換を迫られているという特集だ。冒頭は円安による影響が挙げられる。景気動向とはかけ離れた不動産価格の高騰は、だぶついた日本マネーが中国に流れたからだと日本を非難する中国。もう一つの国、韓国もウォン安の勢いを借りて伸ばしてきた輸出が、一転してのウォン高となり輸出競争力を失うのでは、との懸念が高まっている。ゆえに両国ともに日本の金融緩和政策を批判するという構図である。しかし、それが特集の根幹ではない。もっと根深い問題を抱えている両国を、それぞれ中国編と韓国編とでレポートしているのだ。
 中国編では、過剰な生産力や格差などと同時に、「不透明性」がキーワードとしてあげられている。香港との間で起きている「ニセ輸出」問題や官僚への「倹約令」による余波など、国家として問われる問題だ。
 また韓国編は、一言で言えば「成功モデルの崩壊」。1強となったサムスンの成長モデルの不全や不動産神話の崩壊。少子高齢化など日本と被る問題も多い。岐路にさしかかった中国と韓国と特集では描かれるが、両国と密接な関係を持つ日本も他人事ではない。
 第2特集は「女子力が日本を救う」。『週刊エコノミスト』としては珍しい特集だ。4月9日号のエコノミストレポート「女性ファッションに『ぽっちゃり』の時代が来る?」を思い出す。今回の特集は、企業において女子力をフィーチャー。今春、就職内定率で女性が上回るなど、社会進出は当たり前になってきた。しかしながら改善の余地はあり、女子力をテーマに可能性を探る。


第4位
■日経ビジネス■ <<<  盛り上がる不動産の行く末

 このところの経済誌では、毎週1誌は必ず、アベノミクス絡みの特集を組んでいる。中でも"株"と"不動産"がメインテーマというわけで、今週の『日経ビジネス』の特集は「沸騰 ・ 不動産 次の風景」と題した。
「大提言」といった訳ではなく、不動産事情をいくつかピックアップした特集である。大きく分けて3つある。各層の不動産事情「金持ちも庶民も走る」、価格上昇する駅はどこだ「アベノミクスで上がる場所 下がる場所」、日本経済復活かバブル再来か「日本買い漁る 海外勢」。
「金持ちも庶民も走る」は、不動産争奪戦の大きな流れを実話と共に紹介。富裕層は超優良物件を「瞬間蒸発」でおさえる。中間層も続きたいが超優良物件は数少なく、優良物件を狙うことになる。「お金がある人たちの話だ」と思うかもしれないが、庶民も消費増税の前に住み替えを狙って動いている。
 そうなった時にどのような場所を狙えば良いのか? それが「アベノミクスで上がる場所 下がる場所」。「駅別利回り」で街別に首都圏の不動産価値をランクづけする。結果は当たり前すぎるくらい当然で、人口増加が期待できるなど将来性のある街に高評価がついている。そして話は海外勢へ。盛り上がっているのは外国人も変わらない。
「日本買い漁る 海外勢」では、私募REITや大型物件取引などに絡む海外勢の動きを取りあげている。3つの現状から不動産を読み解くが、楽観視はしていない。最後の項「異次元緩和がもたらす歪み」では、これも当たり前のごとくバブルを懸念して終わっている。
 第2特集の「自動運転がやってきた」はSFのお話が現実になりつつあるという記事。実用化を目指す企業と、これからの自動車を考えている。

2013年6月 5日

今週の第1位は『日経ビジネス』・・・流通新勢力

日経ビジネス ... 流通新勢力
週刊エコノミスト ... 景気の壁
週刊ダイヤモンド ... 投資マネー異常事態
週刊東洋経済 ... マンション時限爆弾

 今週も面白かったのは先週に続いて『日経ビジネス』です。流通の最前線、といってもあまり有名でないけれどキラリと光るユニークな販売をしている店を取りあげています。イオンの株主総会で「PBがどんどん増え買い物をする楽しみがだんだんなくなっている」と株主から提言があったそうですが、ここに紹介されている店はそれとは真逆の店だと言うわけです。これが面白く今週の1位です。
 2位はこれも先週に続いて『週刊エコノミスト』です。アベノミクスに立ちはだかる7つの関門を特集しましたが、異次元緩和に舵を切った黒田日銀を「爆弾低気圧」と評する中原伸之・元日銀審議委員の話が面白かったですね。
 第3位は『週刊ダイヤモンド』の投資マネーが今どうなっているかという特集です。一言で言うと異常事態なのだとか。第2特集の「2040年 全国市町村 財政貧乏度ランキング」も面白かった。貧乏度第1位は大阪の河内長野市だとか。
 そして第4位は『週刊東洋経済』です。マンションの老朽化にどう対応するかという現実的な特集で、中身は悪くありませんでしたが、タイミング的には他と比べて今一の感が拭えませんでした。

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第1位
■日経ビジネス■ <<<  リアル店舗はネット店舗のショールーム

 まだまだ、おもろい会社は沢山ある。そう思わされたのが『日経ビジネス』の特集「流通新勢力」だった。プライベートブランドを増やし、似たような売り場作りで商品を売る流通大手。そこに待ったを唱え、独自の手法で展開し成功を収める企業がある。今回の特集では、「売り場」「品揃え」「接客」において画一化を壊す企業を紹介している。
 例えば北九州市に本拠を置く地域スーパーのハローデイ。ここには「ハロリンピック」と呼ばれる、従業員の考えた陳列方法から新商品まで広く評価する社内コンテストがある。メリーゴーラウンドの様な「売り場」を自作し、来店客の足を止めたパート従業員が表彰されるなど、内容はユニーク。従業員の創意工夫を引き出す仕組みとして成功し、2013年度は815億円の売上高を見込んでいる。「接客」では、インテリア店「アルモニア」を運営するエイチ・ケイ・ワイ。「ここで買うより、楽天市場で買った方がポイントがついてお得ですよ」なんてことを接客で言う。これは元々、エイチ・ケイ・ワイがECを行なっていた企業であり、まだまだ家具をネットで買う抵抗感を下げるために、出店した背景にある。つまり、リアル店舗はショールームとしての意味合いが強く、ネットとリアルの架け橋となっているのだ。そのため一般的に禁止される店内での撮影も歓迎しており、ネットによる拡散も柔軟に受け入れている。
 このような企業が15社も紹介された本特集。これら企業に共通してあるのは「顧客に驚きを与えること」。合理化・画一化で低価格を実現する大手に対抗するための秘策が目白押しだ。


第2位
■ 週刊エコノミスト■ <<< アベノミクスに立ちはだかる関門

 アベノミクスを「安倍バブル」「日銀バブル」など、幾多の切り口で頻繁に特集してきた『週刊エコノミスト』。今週は「景気の壁」というタイトルでアベノミクスに立ちはだかる7つの関門を詳らかにする。7つの関門とは「制御不能な長期金利」、「輸出:限定的な円安メリット」「外需:頼みの中国は景気停滞」「設備投資:製造業に過剰感」「公共事業:人件費急騰」「消費税:増税が消す緩和効果」「地方経済:アベノミクス浸透格差」だ。
 最大の関門は「制御不能の長期金利」。「壮大な実験」とも称される異次元緩和に舵を切った黒田日銀を「爆弾低気圧」と評する中原伸之・元日銀審議委員、「(アベノミクス相場開始以来)国内機関投資家が日本株を買っている痕跡は全く見られなかった」とのデータを示す菊池真・ミョウジョウ・アセット・マネジメント代表取締役、この2人のコラム「警告」が読みどころか。


第3位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  中央銀行バブルの行方

「投資マネー異常事態」。今週の『週刊ダイヤモンド』の特集タイトルだ。5月22日、バーナンキFRB議長がQE3の年内縮小を匂わせると、5月23日、日経平均株価は1143円暴落した。その後も続く金融市場乱高下を受け、日銀黒田総裁が打ち出した"異次元緩和"やFRB(米連邦準備制度理事会)が押し進めてきた大規模金融緩和によって発生した"中央銀行バブル"で何が起きてどこに向かうのか、「彷徨う投資マネー」の行方を占う。
 表紙では「¥」がトンネルの「闇」に向かって暴走。6月7日に発表される5月の米雇用統計が目先の"関ヶ原"となるようだ。そんなわけで今週は、ボクシングでいう"インターバル"。緊張感を持って現状を振り返りつつ、体勢を整える時間なのかもしれない。
 Part1.では「黒田緩和が迫るリスクテーク」と題し、機関投資家の現状を追う。Part2.は「熱狂する個人マネー」。個人投資家の成功談と、円安により次のトレンドとなりつつある国内株投信が語られる。そして特集の最後は「2年後の日本」。短期的な結果で報道されがちだが、結局2年後に物価目標を達成できるのか。戦いはまだ始まったばかりであり、ノックアウトされないことを祈るしかない。
 第2特集は「2040年 全国市町村 財政貧乏度ランキング」。少子高齢化により、減る税収と膨らむ福祉費。30年後に財政困窮しないための、自治体の生き残り策を取りあげる。もうすでに、住民の争奪戦は始まっているのだ。


第4位
■週刊東洋経済■ <<< 業者にカモにされないマンションの修繕法

 今週の『週刊東洋経済』の特集は「マンション時限爆弾」。おっ!こちらもアベノミクスで不動産!? かと思いきや、副題「老朽化にどう対応する」が目に入った。全国600万戸のマンションに潜む「老朽化(建物)」と「高齢化(住人)」という難問を「時限爆弾」になぞらえてのタイトル付けだった。
 老朽化すると建て替えや修繕にお金がかかり、空室も増える。管理者や組合員が高齢化すると、滞納や機能不全を起こす。そして、負の相乗効果でタイムリミットが近づく。特集ではマンションが抱える時限爆弾を4つの切り口で解説する。「ほぼ無理な建て替え」「資産価値を決める大規模修繕」「揺れる管理組合」「とびきり難物のタワーマンション」だ。「間違いだらけの修繕の常識」といった記事では、業者にカモにされないための基礎を伝授。先送りにしてきた自覚があるマンション住人、今後直面する予感のある方は、まずこれを読んでみるといいかも。かく言う私も、先日管理会社から「大規模修繕の進め方」という冊子を渡されましたが。
 第2特集は「成長戦略の隠し球 カジノ解禁!!」。1999年に石原元都知事の「お台場カジノ構想」から出ては消えを繰り返したカジノ問題。あまり知られていないが、秋の法案提出に向けてまた動き出していた。マカオでの成功例を見ると、経済効果は凄まじい。しかし、公序良俗などの非難もされやすくナイーブな案件だ。今回の特集で面白かったのは、澤田秀雄エイチ・アイ・エス会長のインタビュー記事。ハウステンボスの成功例を挙げ、九州誘致を強く推す。