2013年5月22日

今週の第1位は『ダイヤモンド』・・・経済ニュースを疑え!報道現場の裏側を明かす

週刊ダイヤモンド ... 経済ニュースを疑え!報道現場の裏側を明かす
日経ビジネス ... パナソニック シャープを辞めた人たち
週刊エコノミスト ... 外国人投資家の正体
週刊東洋経済 ... 沸騰!エアライン&ホテル

 今週は面白い企画の号が集結しました。中でも秀逸だったのは、ネット上でも大いに話題になった『週刊ダイヤモンド』です。何せ、自分たちの特集を自己批判までしたのですから。ま、何はともあれ、これが今週の第1位です。天に唾するような企画ではありますが、その痛烈な自己批判も含めて話題の1冊となりました。それにしても新聞・テレビといった大マスコミへの不信は近年強まることはあっても弱まることはありませんね。失墜した信用は回復可能でしょうか。
第2位は『日経ビジネス』の「パナソニック シャープを辞めた人たち」です。実際に辞めて転職した人、起業した人などを取材しました。本当のテーマは雇用の流動化なのですが、その最新の動向も含めてなかなか読ませる企画ではありました。
 そして第3位は『週刊エコノミスト』の外国人投資家にスポットを当てた特集です。東日本大震災直後、「東京勤務はいやだ」という社員に「東京か解雇か」を迫った米国の投資会社もあったと聞きます。そのころからすでに次なる儲けどころは日本と道筋ができていたのかもしれません。
ホテルとエアラインの企業間競争を描いている『週刊東洋経済』も面白かったのですが、『週刊エコノミスト』に及ばず、第4位です。

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第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  SNSで話題の今週号は"自己批判"

 今週の『週刊ダイヤモンド』を取り巻く状況は違っていた。というのも、読む前にネット上で話題になっていたからだ。ちょっとしたトレンドと言っても差し支えないだろう。
 なぜか? その理由は第1特集の「経済ニュースを疑え!報道現場の裏側を明かす」に尽きる。自虐的ともとれ、現に自分自身(『週刊ダイヤモンド』)をも批判するこの特集は、SNS上で拡散されていった。アーリーアダプターから始まり、大学生やフリーランスで働く人たちがこぞって発信したのだ。「Naverまとめ」でも記事が作られview数を稼ぎ、twitterでは『週刊ダイヤモンド』公式アカウントがRTまでしている。
 ここまで盛り上がっている理由は言わずもがな内容にある。スクープにおけるリークは予定調和、誤報が発生する環境、ニュース特集1本◯◯◯万円など事細かに業界を書き連ねる。また、小沢一郎や堀江貴文のインタビューも載っている。
 しかし、メインはここではない。ネット上で盛り上がりを見せた理由は、『週刊ダイヤモンド』の自己批判記事である。「週刊ダイヤが株特集を組むとなぜ株価はピークを打つのか」では、株を雑誌特集で扱う問題を抱えながら、見て見ぬ振りをしてきたことを反省している。また、他の記事では特集の使い回しも認めた。
 過去にこのような特集はあっただろうか。間違いなく、これからメディアを語る場において、議論にのぼる1冊となるだろう。第2特集は「子どもの数を超えた!ペット大国ニッポン」。


第2位
■日経ビジネス■ <<<  転職したい会社と就職したい会社の差

  5月14日、シャープは社長交代を発表し、6月に就任する高橋興三次期社長から中期経営計画が語られた。しかし、その道のりはいまだ険しい。外の人間がそう思っているくらいだから、内部では当然それ以上の不安が募っているだろう。
 今週の『日経ビジネス』の特集は「パナソニック シャープを辞めた人たち」。副題に<雇用流動化の理想と現実>とあり、特集の冒頭でパナソニック・シャープを早期退職した人たちの今を追っている。早期退職者と一括りにしているが、その道は様々。転職する人もいれば起業する人も、59歳から30代の若手まで。年収もさまざま。しかし共通してあるのは、やりがいのある仕事をしたいこと。そして、その1歩を踏み出しやすいのは、社外でも通用するスキルを持っていることだ。特集は辞めた人たちを取りあげるのではなく副題の雇用流動化の現実にスポットを当てており、続く記事では「解雇先行の危険性」と題し、「労」を代表し古賀伸明日本労働組合総連合会会長が、「使」を代表し新浪史ローソン社長兼CEOが解雇について語る。そして、流動化するために目指すべき企業の在り方を提起している。
 いずれにしてもここ数年特に進む雇用の流動化という現実にビジネスマン全員が目を向けなくてはならないということなのだろう。「次のキャリアを考える時代」になったのだ。最後に紹介されている「働く1000人が選んだ転職したい企業ランキング」には、隣り合わせで学生の就職希望企業ランキングを並べている。そのギャップが面白い。


第3位
■ 週刊エコノミスト■ <<< いつも外国人が相場を動かす

「外国人投資家の正体」、これが今週号の『週刊エコノミスト』の特集だ。久々にいいタイトルの特集は、その名の通り外国人投資家に迫るものだ。
 円や日本株を彼らはどの様に見ているのか? インタビューから読み解く。そして、ただのインタビュー記事の羅列ではなく過去からも正体を探り出す。「栄枯盛衰のヘッジファンド 歴史と運用手法を知る」では、ヘッジファンドの起源から今日までの変化をまとめた。公開企業の株式などの伝統的投資から、ベンチャーキャピタルや美術品などのオルタナティブ(代替)投資へ主流が移り、もはや代替ではなくなったという流れだ。またバフェットやソロスの手法、チャイナマネーについても言及している。
 面白い特集ではあるが、「外国人投資家の正体」と言っても、いつも相場を動かすのは外国人投資家であることを考えれば、至極まっとうな特集という気がしないでもない。
 第2特集は「アップルの凋落」。苦戦するアップルについて書かれており、「『ブルーオーシャン』には強いが、『レッドオーシャン』になるといつも弱い」など消費者としても頷ける分析があった。また、松井博元・米アップルシニアマネージャーのインタビュー「アップルは内紛と人材硬直化で滅びうる」では、変わりゆくアップルが俯瞰して語られる。


第4位
■週刊東洋経済■ <<<  エアラインの戦いが熱い!らしい

『週刊東洋経済』の特集は「沸騰!エアライン&ホテル」。この業界がそんなに沸騰しているのだろうか? という気がしないでもないが、JALが再生してANAとの競争が激化してきているのは間違いないし、LCCが就航して1年が経つしで、ちょうどいい頃合いなのだろう。特集のメインはエアラインとホテルの業界分析で消費者(読者)が好むランキングは無し。エアライン編では「JALの猛威、ANAの焦燥」、「LCC 1年後の通信簿」、「ボーイングvs.エアバス 主力機はどちらがすごい?」などの面白そうな記事が並ぶ。どれも興味深いが、なかでも稲盛和夫日本航空名誉会長のインタビューはちょっと心にしみる。JAL再建話を通して、経営哲学が語られているのだ。
 ホテル編では、1つは東京ディズニーリゾートや東京駅などの観光地から見たホテル事情。もう1つは、星野リゾートやアパホテルなど、今勢いのある新興企業の事業展開に迫る。
 第2特集は「TPP 日本のシナリオ」。TPP交渉の1例として関税があげられるが、TPPの先にある新秩序を特集では問うている。また、農業や医療などのテーマごとの今後も予測するのだが、「知的財産」がしっかり入っていたことには感心した。

(2013年5月23日)