2013年4月 3日

今週の週刊経済誌の読みどころ_2013.4.3

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』

週刊ダイヤモンド ... 安倍マジックのタネ明かし
週刊東洋経済 ... 給料大格差時代
日経ビジネス ... あなたを救う病院
週刊エコノミスト ... 噴き上がる日銀バブル

 4月に入ると従来はキャンペーンと称して特大号を連発していた『週刊ダイヤモンド』と『週刊東洋経済』とが、普通号で販売されていることに気づきました。もう、キャンペーン効果はないということでしょうか。両誌とも、ということは? まさか話し合いをするわけはなく、偶然なのでしょう。しかし、この両誌が今週号では期せずして「給料」の問題に取組んでいます。面白かったのはアベノミクスと絡めて「給与は上がるのか」と問いを発した『週刊ダイヤモンド』です。安倍マジックなる言葉を使ってアベノミクスの裏側を解剖しています。これが今週の第1位です。
 一方の『週刊東洋経済』は給料の格差にスポットを当てました。業種別の年収ランキングは単純には比較できないけれどつい見てしまいます。ちなみに情報・通信業界では日本テレビホールディングスがトップで1353.5万円だとか。
 第3位の『日経ビジネス』は病院のランキングを特集しました。それも医師1200人と管理職7200人が選ぶ病院ランキングです。総合1位は虎ノ門病院。2位は国立がん研究センター中央病院となっています。
 第4位はいよいよ日銀総裁が決まったことを受けて「日銀バブル」特集を組んだ『週刊エコノミスト』です。日銀が金融緩和により大量のマネーを市場に供給する官製バブルに市場は過熱気味ですが、これを株や為替、不動産とジャンル別にどう動くか、問題点は何かを分析しています。

dia_2013.4.3.jpgtoyo_2013.4.6.jpgnikkei_2013.4.3.jpgeco_2013.4.9.jpg


第1位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  安倍マジックに騙される人、騙されない人

 4月が始まった。今週の『週刊ダイヤモンド』は新年度1発目に相応しい勢いのある号となった。とにかく読み応えのある記事が目白押しだ。期せずして『週刊ダイヤモンド』と『週刊東洋経済』の第1特集に「給料」の二文字が踊るのも、年度始めから興味深いシンクロニシティとなった。
 さて、まず巻頭は、筆頭株主である投資ファンド、サーベラスからTOBをかけられている西武の、タイムリーな「緊急レポート」だ。「西武VSサーベラス 全交渉秘録〜猛犬はかくして牙を剥いた」。タイトル周辺には"ハゲタカ"の4文字はないが、本文では「ハゲタカ」「猛犬」の実態が語られ、まるで小説を読むような緊迫した内容となっている。
 特集は、「給料は上がるのか? 安倍マジックのタネ明かし」。期待先行でなんだかよくわけもわからないうちに円安株髙、一部有名企業の給料アップ宣言と続くアベノミクスの表層を、「安倍マジック」と命名し、マジシャン安倍のマジック6幕20個の謎を解き明かしながら、その実態を掘り下げる内容だ。「謎」のいくつかを紹介しよう。企業が儲かっても給料が上がるわけではない実態を明かす「2000年代半ばの円安でなぜ給料は上がらなかった?」(謎解き3)、インフレ率2%はなにをもって2%としているのかの謎に迫る「消費者物価の全貌と問題点」(謎解き6)、「安倍政権の経済政策に水を差さないよう社内に大号令がかかっている」という大手証券エコノミスト氏の言葉は「金融緩和だけでデフレ脱却できるのか」(謎解き8)に登場する。
 そして巻末には、羽生善治プロ棋士と川上量生ドワンゴ会長の特別対談だ。3月から始まったプロ棋士対コンピューターの真剣勝負「将棋電王戦」。ニコニコ動画を運営するドワンゴが主催し、ニコ動でも生中継され注目されているが、この二人の対談にも注目だ。


第2位
■週刊東洋経済■ <<< 日本企業の賞与格差は米国と比べても異常

「給料 大格差時代」という、サラリーマンには危機感募る特集タイトルを持ってきたのは『週刊東洋経済』。『週刊ダイヤモンド』と共に「給料」という文字が表紙に踊るが、あちらはアベノミクスにフォーカス、こちらは給与額の二極化にフォーカスしたものとなった。
 特集は2部構成だ。Part1は「広がる給与格差」。年功型賃金体系の完全崩壊、役割・職務給の導入企業増加でさらに拡大した給与格差が、数値で示される。人材コンサルティング会社、ヘイコンサルティンググループの高野社長は、「日本企業の賞与格差は米国と比べても異常」という。意外な言葉だが、事実そうらしい。
 Part2「賃上げ狂騒曲の虚実」では、「なぜ賃金は上がりにくいのか」に焦点を当てる。「主要1300社 40歳年収ランキング」では、1人当たり付加価値額と推計年収で余剰賃上げ力を探ってもいる。自分の生き方を考え、よりスキルアップできる組織を求め、あるいは自分で作り、気の抜けた安定を求めてはいない、そういうアグレッシブな生き方にシフトする若手は意外といる。そういう人材にはピンとこない特集かもしれない。
 第2特集は「どうした経産省!」。経済最優先を掲げる安倍内閣だが、成長戦略は従来型のプランを脱せず、規制緩和も迷走気味だ。「経産省主導内閣」の実態をレポートする。


第3位
■日経ビジネス■ <<<  医師が選ぶ病院ランキング

 あなたは病院になにを求めるだろうか。病気や怪我を治せる医師や医療機器、最先端の治療、つまるところ求めているのは良い結果だ。で、その「良い結果」の中には、医師や看護師への信頼や安心感なんていう、非常に繊細で心情的なものも求めている。今週の『日経ビジネス』「あなたを救う病院」には、患者側のそんな心情がよく表われている。
 特集「あなたを救う病院」では、日経オンラインを通じて独自に調査した「病院満足度」を、『日経メディカルオンライン』読者の医師1200人、『日経ビジネスオンライン』読者の管理職以上7200人に尋ねたランキングが掲載されている。
 興味深いのは、医師だけが評価したランキングとビジネスパーソン側からのランキングがまるで違うところだ。お互いの20位以内で重なるのは4病院のみ。症例数の多さや先端的な医療の導入という観点では「医師が選ぶランキング」を参照し、総合的な満足度ではビジネスパーソンランキングを参照してみるのが良さそうだ。しかし、経営者仲間でよく言われているのは、大事なのは「何でも相談できる『かかりつけ医』を持つこと」だ。記事内でも、かかりつけ医から名医に導かれた例がレポートされている。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<<  いよいよ日銀によるバブルが始まる

『週刊エコノミスト』の特集は「噴き上がる日銀バブル」。このところ続くアベノミクス関連特集だが、今週は話題の中心が安倍総理から黒田総裁に変わった。包括的なアベノミクスから放たれた金融緩和が、実態のつかめる段階に近づいたということか。とにかく新しい黒田日銀がスタートを切った。
 本特集では「一度、やると決めたらとことんやる男。決して妥協しない」と評された黒田東彦・日銀総裁(小幡績慶大准教授評)。表紙にも特集トビラにも顔写真で登場する。最近、黒田総裁の性格にふれる記事をたびたび見かける。2013年3月18日の『週刊東洋経済』では榊原英資元財務官に「人当たりはソフトだが、芯は強い」と評されていた。共通するニュアンスは日本人が好みそうな一徹な人物像。こういったところにもインフレ期待が潜んでいる。
 分析するカテゴリーは、株式、不動産、J-REIT(日本版不動産投資信託)、金、国債、為替と、いつもの王道路線を扱っている。個人消費では高級腕時計の売れ行きが好調で、ゴルフ会員権価格も上昇中だ。バレンタインデーのルイ・ヴィトンでは、前年同日の4倍を売上げたという。
 さて、「エコノミストリポート」で「ぽっちゃり」市場を3ページの記事にした。ぽっちゃりファッション専門女性誌『ラ・ファーファ』(ぶんか社)がこの3月に創刊され、初版部数5万部で好調だという。昨年の今頃、ニッセンがリアル店舗でぽっちゃり店員さんを販売員に起用し話題となったが、ついに専門メディア登場でぽっちゃり市場が華やぎそうだ。