2013年3月27日

今週の週刊経済誌の読みどころ_2013.3.27

今週の第1位は『日経ビジネス』

日経ビジネス ... 50万円カーの衝撃
週刊ダイヤモンド ... 最強の武器「統計学」
週刊東洋経済 ... 最新 スマホ活用術
週刊エコノミスト ... 経済学で読み解く 日本経済

 毎年4月になると『週刊ダイヤモンド』と『週刊東洋経済』は強化キャンペーンとして特大号を連発します。今週号はその前とあって、わりに静かな特集が多いような気がします。そんな中で目を引いたのは『日経ビジネス』でした。50万円カーというキャッチフレーズを使って、コモディティー化してどんどん安くなるクルマ産業の実態をレポートしています。インドでは21万円、中国では56万円と安いクルマが登場している中で日本のメーカーは生き残れるのでしょうか。一読をお勧めします。これが今週の第1位です。
 第2位は「統計学」という、普段我々に関係ないような学問をテーマにした『週刊ダイヤモンド』です。学問と言ってもビジネスの現場でいかにこの統計を使うのか、そのノウハウをふんだんに盛り込んだちょっと面白い特集です。
 そしてこれに続くのが『週刊東洋経済』。第1特集はスマホをいかに活用するかと言うオジサンビギナー向け特集で、でもこれに組み合わせて第2特集で新聞とテレビの生き残りをかけた最終決戦のレポートです。合わせ技っぽいですが、バラエティーには富んでいます。
 そして『週刊エコノミスト』は経済学の入門特集です。先週の『週刊東洋経済』でも特集していましたが、この時期の恒例定番企画といったところでしょうか。『週刊ダイヤモンド』でも登場していましたが、駒沢大学准教授の飯田泰之さんはこの雑誌にも出ていましたね。売れてるなぁ。

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第1位
■ 日経ビジネス■ <<<  安くなければクルマじゃない?

 インドのタタ社が10万ルピー(当時のレートで30万円以下)のタタ・ナノを発売したのが2008年。あのとき「インド人はあの暑さのなか冷房もないクルマに乗るの?!」とか「そんなに安いクルマに乗って生きて帰れるの?!」とか。高性能のクルマに慣れきった日本では、遠い世界の変わり種ニュースぐらいの扱いだった気がする。それも今は昔。「コモディティ化」の流れは、日本人的には来てほしくなかったクルマにも押し寄せ、インドのみならず、高級車志向の中国でも、不況のヨーロッパでも加速している。その現実をとらえた特集が、今週の『日経ビジネス』だ。
 ヨーロッパにおける「ダチア」の快進撃は、私、まったくノーマークでした。ダチアはルノー傘下のルーマニアの自動車大手だそうだ。最大級のトランクを備えた5人乗り1500ccディーゼルエンジン車が8990ユーロ(約112万円)。日本の軽自動車より安い。
 目下の最安値はインドでバジャジ・オートが販売する「RE60」。21万から。これはデリー市民の平均収入1ヶ月分、全国平均では3〜4ヶ月分に相等する価格だ。これが新興国の現状であり確かな市場となっているのだ。予想通り日本企業は低価格車製造への活路を見出していないかに見える。「汎用部品を調達して家電のように安くクルマを作る時代」がひたひたと迫っている。
 第2特集は「隣の個人投資家」。アベノミクスでまたぞろ個人デイトレーダーが湧き出しているようだ。
 連載「騎手たちのアリア」で坂本孝社長が取りあげられていた。ブックオフコーポレーション創業者であり、不祥事で辞任。心機一転始めたレストラン事業「俺のイタリアン」などが大成功。復活を果たした矢先に頚椎損傷。カリスマ実業家 稲盛和夫を絡ませて描かれる波瀾万丈の人生は、読み応え十分。


第2位
週刊ダイヤモンド■ <<<  統計学は武器になるのか?

 年度末のいま、『週刊ダイヤモンド』と『週刊東洋経済』2誌はビッグ特集を先に送り、両誌とも3本立てでそろえてきた。
『週刊ダイヤモンド』の第1特集は「最強の武器『統計学』」。この情報過多社会、ネットリテラシーに続く必須ビジネススキルは「統計学」ってことである。
「世の中は複雑化していて、自分一人の経験で何か新しい結論を導きだせるほど単純ではありません。場合によっては70歳でも経験不足とかあり得ます」と言うのは、『統計学が最強の学問である』の著者、西内啓氏だ。冒頭の対談で飯田泰之駒沢大学准教授(最近メディアに出まくってますね)とともに登場している。
「統計学を適切に使えば(中略)従業員に(天才の)8割方の仕事をしてもらうことは、そう難しくないのでは」と指摘。統計リテラシーの習得=必須ビジネススキル化の流れは加速しているようだ。「ビッグデータ」っていう言葉もあちこちで聞かれるタームになりつつある。
 これまでも分析データを仕事の武器に使うのは一線のビジネスマンには当たり前の日常行為のはずだ。それが一般化してさらに多くの人の意思決定をサポートし、仕事効率を上げるのは賛成だ。しかし、この統計学ブームの兆しには、ひと頃の経営者たちの合い言葉「選択と集中」、そしてその後の失敗を連想してしまう。強いベクトルは使い方を誤るとヤバい。
 第2特集は「ソフトバンクがドコモを抜く日」、第3特集は「シャープ ガラスの再生計画」。資金調達・買収と大きくなっていったソフトバンク、魂胆も込みでサムスンの出資を受けるシャープ。日本を代表する企業ではあるが、とりまく状況は真逆だ。そんな2社の今とこれからを解説している。


第3位
■週刊東洋経済■ <<< これでスマホのプロになれるか

『週刊東洋経済』も特集を3本並べてきた。3本というのも珍しいが、表紙の大見出しとなっている第1特集「ビジネスパーソンのための最新スマホ活用術」が24ページ、そして第2特集「新聞・テレビ最終決戦」が20ページと、第1特集に匹敵するボリュームになっている。時節柄、スマホで読者の目を引きつけて、さらに第2特集を読ませる作戦なのかもしれない。
 そんなわけで、「最新スマホ活用術」は、スマホを「宝の持ち腐れ」にしないための軽いノウハウ特集だ。さらに初心者向けの詳しい内容は昨年末の『週刊ダイヤモンド』「まだ間に合う!スマホ入門」をご覧ください...といったところだ。
 20ページと肉厚な第2特集「新聞・テレビ 最終決戦」は、読者・視聴者の離脱が止まらない新聞・テレビを分析する。まだまだ影響力は大きいものの、大メディア5新聞5テレビ局が圧倒的な媒体力を持っていたのは「今は昔」。インターネットに力を削ぎ落され、とくに新聞の凋落ぶりは著しいものがある。今後の展開はどちらにしてもネット活用が鍵だ。新聞なら電子版、テレビならリアルタイムでの連動。各社ともに模索しているが決め手はまだない。不動産業に力を入れている企業もある(出版業界も耳が痛いですな)。
 第3特集は「2013年版CSR企業ランキング」。CSR(企業の社会的責任)の取り組みの充実度と財務から「信頼される会社」を東洋経済が選定するもので、今年で7回目だそうだ。2013年の1位はトヨタ自動車で、昨年2位からの帰り咲き。2位は富士フィルム、3位は昨年9位から躍進したNTTドコモだ。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<< アベノミクスで経済学も盛り上がる

 Part1、Part2と、前後編に分けた大きな特集を組んだのは『週刊エコノミスト』だ。タイトルは「経済学で読み解く 日本経済」。また『週刊エコノミスト』が大好きな経済学かぁ...とデジャヴ感を抱いて過去の特集を見てみたら、昨年のこの時期も「いま使える経済学」という特集をやってました。『週刊エコノミスト』的には、春は経済学の季節なのかもしれない。
 さて、アベノミクス「3本の矢」がそれぞれ別の経済学理論によるものであると指摘するところから特集が始まる。そして、吉川洋東京大学大学院教授のインタビュー「いま経済学を学ぶ意義」。専門のマクロ経済学で語りかけつつ「『経済学』学になるな」と警鐘を鳴らす内容となった。
 目玉はリフレ派の飯田泰之駒澤大学経済学部准教授VS反リフレ派の小幡績慶應義塾大学大学院准教授の対談だろう。"ケンカ"という単語がでるほどに熱量を感じさせ、ちょっと読んでみてほしい対談だ。
 リフレ派として昨年あたりからメディア露出が増えてきた飯田准教授だが、学部から院にかけて吉川洋ゼミで学び、師と仰いでいたそうだ。「資産価格上昇が投資・消費を拡大」するとしてアベノミクスを高く評価する飯田准教授。「金融緩和だけでデフレから脱却できるという考え方には懐疑的な立場」として賃金引き上げをカギとする吉川教授。師弟が出すアベノミクス予測と捉えてみると、本誌はまた一興だ。
「Part2 世界と日本の潮流変化」とした後半では、経済動向をつかむべく5つの先行指数を紹介。ロイター/ジェフリーズCRB指数やVIX指数、バルチック海運指数など目にする機会は少ないものの、データから見える経済がそこにはある。