2013年3月27日

今週の週刊経済誌の読みどころ_2013.3.27

今週の第1位は『日経ビジネス』

日経ビジネス ... 50万円カーの衝撃
週刊ダイヤモンド ... 最強の武器「統計学」
週刊東洋経済 ... 最新 スマホ活用術
週刊エコノミスト ... 経済学で読み解く 日本経済

 毎年4月になると『週刊ダイヤモンド』と『週刊東洋経済』は強化キャンペーンとして特大号を連発します。今週号はその前とあって、わりに静かな特集が多いような気がします。そんな中で目を引いたのは『日経ビジネス』でした。50万円カーというキャッチフレーズを使って、コモディティー化してどんどん安くなるクルマ産業の実態をレポートしています。インドでは21万円、中国では56万円と安いクルマが登場している中で日本のメーカーは生き残れるのでしょうか。一読をお勧めします。これが今週の第1位です。
 第2位は「統計学」という、普段我々に関係ないような学問をテーマにした『週刊ダイヤモンド』です。学問と言ってもビジネスの現場でいかにこの統計を使うのか、そのノウハウをふんだんに盛り込んだちょっと面白い特集です。
 そしてこれに続くのが『週刊東洋経済』。第1特集はスマホをいかに活用するかと言うオジサンビギナー向け特集で、でもこれに組み合わせて第2特集で新聞とテレビの生き残りをかけた最終決戦のレポートです。合わせ技っぽいですが、バラエティーには富んでいます。
 そして『週刊エコノミスト』は経済学の入門特集です。先週の『週刊東洋経済』でも特集していましたが、この時期の恒例定番企画といったところでしょうか。『週刊ダイヤモンド』でも登場していましたが、駒沢大学准教授の飯田泰之さんはこの雑誌にも出ていましたね。売れてるなぁ。

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第1位
■ 日経ビジネス■ <<<  安くなければクルマじゃない?

 インドのタタ社が10万ルピー(当時のレートで30万円以下)のタタ・ナノを発売したのが2008年。あのとき「インド人はあの暑さのなか冷房もないクルマに乗るの?!」とか「そんなに安いクルマに乗って生きて帰れるの?!」とか。高性能のクルマに慣れきった日本では、遠い世界の変わり種ニュースぐらいの扱いだった気がする。それも今は昔。「コモディティ化」の流れは、日本人的には来てほしくなかったクルマにも押し寄せ、インドのみならず、高級車志向の中国でも、不況のヨーロッパでも加速している。その現実をとらえた特集が、今週の『日経ビジネス』だ。
 ヨーロッパにおける「ダチア」の快進撃は、私、まったくノーマークでした。ダチアはルノー傘下のルーマニアの自動車大手だそうだ。最大級のトランクを備えた5人乗り1500ccディーゼルエンジン車が8990ユーロ(約112万円)。日本の軽自動車より安い。
 目下の最安値はインドでバジャジ・オートが販売する「RE60」。21万から。これはデリー市民の平均収入1ヶ月分、全国平均では3〜4ヶ月分に相等する価格だ。これが新興国の現状であり確かな市場となっているのだ。予想通り日本企業は低価格車製造への活路を見出していないかに見える。「汎用部品を調達して家電のように安くクルマを作る時代」がひたひたと迫っている。
 第2特集は「隣の個人投資家」。アベノミクスでまたぞろ個人デイトレーダーが湧き出しているようだ。
 連載「騎手たちのアリア」で坂本孝社長が取りあげられていた。ブックオフコーポレーション創業者であり、不祥事で辞任。心機一転始めたレストラン事業「俺のイタリアン」などが大成功。復活を果たした矢先に頚椎損傷。カリスマ実業家 稲盛和夫を絡ませて描かれる波瀾万丈の人生は、読み応え十分。


第2位
週刊ダイヤモンド■ <<<  統計学は武器になるのか?

 年度末のいま、『週刊ダイヤモンド』と『週刊東洋経済』2誌はビッグ特集を先に送り、両誌とも3本立てでそろえてきた。
『週刊ダイヤモンド』の第1特集は「最強の武器『統計学』」。この情報過多社会、ネットリテラシーに続く必須ビジネススキルは「統計学」ってことである。
「世の中は複雑化していて、自分一人の経験で何か新しい結論を導きだせるほど単純ではありません。場合によっては70歳でも経験不足とかあり得ます」と言うのは、『統計学が最強の学問である』の著者、西内啓氏だ。冒頭の対談で飯田泰之駒沢大学准教授(最近メディアに出まくってますね)とともに登場している。
「統計学を適切に使えば(中略)従業員に(天才の)8割方の仕事をしてもらうことは、そう難しくないのでは」と指摘。統計リテラシーの習得=必須ビジネススキル化の流れは加速しているようだ。「ビッグデータ」っていう言葉もあちこちで聞かれるタームになりつつある。
 これまでも分析データを仕事の武器に使うのは一線のビジネスマンには当たり前の日常行為のはずだ。それが一般化してさらに多くの人の意思決定をサポートし、仕事効率を上げるのは賛成だ。しかし、この統計学ブームの兆しには、ひと頃の経営者たちの合い言葉「選択と集中」、そしてその後の失敗を連想してしまう。強いベクトルは使い方を誤るとヤバい。
 第2特集は「ソフトバンクがドコモを抜く日」、第3特集は「シャープ ガラスの再生計画」。資金調達・買収と大きくなっていったソフトバンク、魂胆も込みでサムスンの出資を受けるシャープ。日本を代表する企業ではあるが、とりまく状況は真逆だ。そんな2社の今とこれからを解説している。


第3位
■週刊東洋経済■ <<< これでスマホのプロになれるか

『週刊東洋経済』も特集を3本並べてきた。3本というのも珍しいが、表紙の大見出しとなっている第1特集「ビジネスパーソンのための最新スマホ活用術」が24ページ、そして第2特集「新聞・テレビ最終決戦」が20ページと、第1特集に匹敵するボリュームになっている。時節柄、スマホで読者の目を引きつけて、さらに第2特集を読ませる作戦なのかもしれない。
 そんなわけで、「最新スマホ活用術」は、スマホを「宝の持ち腐れ」にしないための軽いノウハウ特集だ。さらに初心者向けの詳しい内容は昨年末の『週刊ダイヤモンド』「まだ間に合う!スマホ入門」をご覧ください...といったところだ。
 20ページと肉厚な第2特集「新聞・テレビ 最終決戦」は、読者・視聴者の離脱が止まらない新聞・テレビを分析する。まだまだ影響力は大きいものの、大メディア5新聞5テレビ局が圧倒的な媒体力を持っていたのは「今は昔」。インターネットに力を削ぎ落され、とくに新聞の凋落ぶりは著しいものがある。今後の展開はどちらにしてもネット活用が鍵だ。新聞なら電子版、テレビならリアルタイムでの連動。各社ともに模索しているが決め手はまだない。不動産業に力を入れている企業もある(出版業界も耳が痛いですな)。
 第3特集は「2013年版CSR企業ランキング」。CSR(企業の社会的責任)の取り組みの充実度と財務から「信頼される会社」を東洋経済が選定するもので、今年で7回目だそうだ。2013年の1位はトヨタ自動車で、昨年2位からの帰り咲き。2位は富士フィルム、3位は昨年9位から躍進したNTTドコモだ。


第4位
■週刊エコノミスト■ <<< アベノミクスで経済学も盛り上がる

 Part1、Part2と、前後編に分けた大きな特集を組んだのは『週刊エコノミスト』だ。タイトルは「経済学で読み解く 日本経済」。また『週刊エコノミスト』が大好きな経済学かぁ...とデジャヴ感を抱いて過去の特集を見てみたら、昨年のこの時期も「いま使える経済学」という特集をやってました。『週刊エコノミスト』的には、春は経済学の季節なのかもしれない。
 さて、アベノミクス「3本の矢」がそれぞれ別の経済学理論によるものであると指摘するところから特集が始まる。そして、吉川洋東京大学大学院教授のインタビュー「いま経済学を学ぶ意義」。専門のマクロ経済学で語りかけつつ「『経済学』学になるな」と警鐘を鳴らす内容となった。
 目玉はリフレ派の飯田泰之駒澤大学経済学部准教授VS反リフレ派の小幡績慶應義塾大学大学院准教授の対談だろう。"ケンカ"という単語がでるほどに熱量を感じさせ、ちょっと読んでみてほしい対談だ。
 リフレ派として昨年あたりからメディア露出が増えてきた飯田准教授だが、学部から院にかけて吉川洋ゼミで学び、師と仰いでいたそうだ。「資産価格上昇が投資・消費を拡大」するとしてアベノミクスを高く評価する飯田准教授。「金融緩和だけでデフレから脱却できるという考え方には懐疑的な立場」として賃金引き上げをカギとする吉川教授。師弟が出すアベノミクス予測と捉えてみると、本誌はまた一興だ。
「Part2 世界と日本の潮流変化」とした後半では、経済動向をつかむべく5つの先行指数を紹介。ロイター/ジェフリーズCRB指数やVIX指数、バルチック海運指数など目にする機会は少ないものの、データから見える経済がそこにはある。

2013年3月19日

今週の週刊経済誌の読みどころ_2013.3.19

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』

週刊ダイヤモンド ... 不動産マネー 動く!
日経ビジネス ... 商社の異変
週刊エコノミスト ... 中国の破壊力
週刊東洋経済 ... 入門 日本経済

 経済誌の売れ行きは、特集で決まります。ではどんな特集が売れるかと言えば、「儲かりそうな特集」ということに尽きます。「役に立ちそう」というキーワードも強いのですが、やはり「儲かりそう」な匂いには負けてしまう。
 今週で言えば、『週刊ダイヤモンド』の特集がそれ。「不動産の特集」です。アベノミクスによって、カネが動き始めている日本で、株と同じくマネーが動くものと言えば不動産です。また、バブル再燃か? と世の人たちは期待を込めて読んでくれるでしょう。ということで、これが第1位です。
 では第2位は『日経ビジネス』です。このところの勝ち組の象徴だった総合商社を取りあげ、異変が起こっているとレポートしています。資源バブルでしこたま稼いだ商社もそのバブルが一段落すると、とたんに揺れ始めるというわけでしょうか。
 第3位の『週刊エコノミスト』は中国の破壊力をテーマに特集を組みました。それ自体は珍しくもありませんが、そのなかで、「中国の頭脳」とも言うべき「エリート層」にスポットを当てているところが、斬新な感じがしました。この部分は面白かったですね。
 第4位の『週刊東洋経済』は春先の恒例企画、日本経済の入門編です。おそらくこの後どこかで『週刊ダイヤモンド』でも特集を組むでしょう。

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第1位
週刊ダイヤモンド■ <<< 儲かり始めるか? 不動産

 今週の『週刊ダイヤモンド』の特集は「不動産マネー動く!」。金融緩和により、債券から株式への大転換が起きていることは『週刊エコノミスト』をはじめ各誌で取りあげているが、株と同時に、巷間話題になるのが不動産であることは言をまたない。不動産価格は上昇するのか? マネーの動きはどうなのか? つまり物価上昇に伴う金利上昇によって不動産購入が急がれるのでは、という気運と外資の流入によりミニバブルの再来が期待されているのだ。
 同誌では第1部で不動産マネーの展望を、第2部では急騰するREIT(不動産投資信託)を、第3部では個人で行なう不動産投資を紹介した。
 ただし、同誌がミニバブルと表現しているように一過性の上昇という考えが強い。現に、銀行の不動産向け融資が一部で緩くなっているなど、平成の土地バブルやサブプライムローンの住宅バブルを彷彿とさせる動きもある。3度目の正直といくかどうかは定かではないが、東京の再開発を紹介した「東京未来予想図」や「沸騰するREIT市場前解剖」は読んでおいても良いだろう。特に利回りが異様に高いREITに関しては、超入門講座なるものが掲載されており、素人投資家にはちょうどいい読み物かもしれない。
 今週は第2特集「過熱する食料争奪戦」、第3特集「意外な? 自民のエネルギー戦略」と幅広い内容となった。「過熱する食料争奪戦」は商社の食料戦略を描いた。『日経ビジネス』では"脱・資源"をどこも主張していたが、食料も立派な"資源"。投資先が変わったに過ぎないとも言えてしまう。


第2位
■ 日経ビジネス■ <<<  商社の黄昏?

「『総合商社の夏』は終わった」の一言から始まるのが『日経ビジネス』の特集「商社の異変」である。資源バブルの恩恵をうけ、ここ10年で巨大な利益をほしいままにした「総合商社」の風向きが変わってきたという特集だ。2012年3月期には軒並み過去最高益を計上した総合商社だが、資源価値が落ち着きをみせたことにより、2013年3月期は最終減益となる見通し。だが、なにもそれだけが"冬の時代"を予感させているわけではない。
 同誌が取りあげたポイントは資源依存が総合商社を蝕んでいたという事実。権益ビジネスによって本来以上の利益をあげられるため、地道で泥臭い仕事がおざなりになってしまった。ある種の麻痺が異変の原因なのだ。
 本特集では、大手5社の次なる動きを紹介した。病院経営に資本参加した三井物産や伊藤忠商事の青果世界最大手「ドール」の一部事業の買収など、方法は違えど目指すは資源依存からの脱却。そして最後に、「未来の商社をどう作る?」という5社トップへの質問記事が掲載されている。一見すると似たり寄ったりの回答ではあるが、ニュアンスに企業が表れてはいる。
 それにしてもボブ・ディランじゃないけれど" The times they are a changin' "ですね(古いか!)。
 第2特集は「アップルを包囲せよ」。「iPhone 5」の不調により、「iOS」を擁するアップルの一人勝ち時代は終わりを告げた。そしてやってきたのは、OSによる勢力争い。双璧をなしていたグーグルの「Android」はもちろんのこと、ウェブブラウザで厚い信頼を得ているモジラの「Firefox」、そしてサムスンやインテル主導で作られる「Tizen」。この4つの派閥に世界的メーカーや携帯電話会社が散らばる。三国志を彷彿させるこの争いの勝者は誰になるのだろうか。


第3位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  中国の破壊力

 中国からの"影響"というと、いまの季節はPM2.5や黄砂が真っ先に浮かぶ。行き交うひとの顔はマスクや眼鏡で覆われ、環境基準値を気にかけて生活をしている。
だが、経済成長に公害は付きものと感じてしまうのは、高度経済成長のまっただ中に身を置いていたからだろう。昔の日本も同じようなものだったとつい思ってしまう。でも、その頃の日本のパワーはすごかった。
 いまの中国がそうだ。経済が落ち込んできていると言いつつも、その力はやはりとどまることをしらない。そこで『週刊エコノミスト』は、「中国の破壊力」と題した特集を持ってきた。
 家電やスマートフォンなどの電機産業において、日本を背負ってきた大企業が完膚なきまでに倒されていくのは知れ渡っているが、その他の分野においても例外ではないことを特集では伝えている。この特集の読みどころは、知的エリート層の大きさを紹介しているところだろう。「巨象の頭脳」と題し、精華大学と北京大学で教鞭をふる紺野大介ETT理事長が実体験も含めて語っている。 
 米トップ大学学長が学生をハンティングにくるわ、特許収入52億円の教授はいるわ、と教育においても圧倒的な差がついていることを同誌は解説している。


第4位
■週刊東洋経済■ <<<  いまを知るキーワードはたくさんある

 どの雑誌にも恒例と称される企画がある。春の経済週刊誌においては、さしずめこの企画が「恒例」と言えるだろう。「日本経済入門」企画である。今週号の『週刊東洋経済』はその特集を組んだ。題して「入門 日本経済」という。
 まあ、見ててご覧なさい。次か、その次あたりで『週刊ダイヤモンド』もやりますから。
 ところで、恒例でもマンネリにならないようにするためにはさまざまな工夫が必要だ。今号の同誌は、その意味で「ニュースの旬」に目を付けた。日々流れるニュースは膨大で、とてもそのすべてを把握できるものではない。理解しようとしても、出遅れを取り戻す前に次の問題が起きる。
 そこで同誌は、日本経済において、押さえておきたい20のテーマと40のキーワードを選んでその解説に徹した。金融政策や賃上げなどのアベノミクスにまつわるテーマから、TPP、ユーロ危機、原発再稼働といった、知ってはいるが大雑把になりがちなテーマまで幅広い。こういった類のものは広く浅くになりがちだが、テーマに沿った論客へのインタビューがポイントとして効いている。黒田東彦日銀新総裁の先輩にあたる榊原英資元財務官のインタビューは、とても平易に新総裁ひいては日本銀行を説いていた。その他にも、シェール革命やスマートフォンなどもさわり程度に。全体として、そつなくまとまっているが、困ったときの"入門"頼みな気もしないでもない。
 第2特集は、「採用&就活はこうなる!」。2014年卒ランキングや過去のデータからトレンドを分析した。大企業志向や内向き志向といった安定を求める傾向が見えてくる。

2013年3月12日

今週の週刊経済誌の読みどころ_2013.3.12

今週の第1位は『週刊東洋経済』

週刊東洋経済 ... 1億人の税
週刊ダイヤモンド ... 目にかかるカネとリスク
日経ビジネス ... どうする「核のゴミ」
週刊エコノミスト ... 賃金を上げろ

 今週は、発売日が3月11日のこともあって、テレビや新聞のように、震災がらみの特集を組む雑誌があるかと思いましたが、小さな記事を別にすればほとんどありませんでした。そんななかで面白かったのは、税のことを広範に扱って特集にした『週刊東洋経済』です。ふつう、税の話は個人の節税に終始することが多いのですが、企業編を設け、グローバル企業のまるで経済小説ばりのグローバルな節税ぶりなども紹介しています。これが今週の第1位。
 次に、視点が面白かったのは「目」をテーマに特集を組んだ『週刊ダイヤモンド』です。目の病気と治療の数々から、メガネ、コンタクトレンズまでさまざまな視点で「目」を取りあげました。安いメガネ屋さんの儲けのからくりも暴いています。これが第2位です。
 第3位は『日経ビジネス』。唯一、震災がらみの記事を特集に持ってきました。といってもチェルノブイリをケーススタディとして、原発で発した「核のゴミ」をどうすればいいのか、というのがテーマでした。
 ここのところアベノミクスを特集のテーマに据えている『週刊エコノミスト』は今週もそれがらみであることは変わらず、賃金を上げようと訴える、キャンペーン的な特集です。主要300社の賃上げ余力のランキングを特集の主軸に据えたところが面白かったですね。

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第1位
■週刊東洋経済■ <<<  妥当な納税が行なわれる時代はくるのか

 "終活"という言葉はご存じだろう。「人生の終わりのための活動」の略で4年ほど前から使われはじめ、新語・流行語大賞もとった。2009年というと、団塊の世代引退とも重なるが、親の財産分与の際に兄弟姉妹で揉めた経験があり「自分のときは」と親から"最後で最期の学び"にした人が多かっただろう。「遺言状キット」などで書いた人も多いらしいが、このたび書き直す必要がでてくるかもしれない。
 今週の『週刊東洋経済』の特集は「1億人の税」で、2015年に大きく変わる税制とその対策を扱った。この時期恒例の「税特集」だが、今回はちょっと趣を変えた。たいてい個人にスポットを当てがちだが、今号では個人編と企業編の2部構成となっている。内容が基本的に節税なのはいつも通りだが、「不動産購入、賃貸にして評価額を下げる」という個人規模での節税に加えて、グローバル企業の大掛かりなスキームまで踏み込んでいるのが特長だ。スターバックスやグーグルの節税手法はなるほど良くできており、経済小説を読んだときのような高揚を感じてしまう人も多いだろう。
 また、富裕層におけるタックスヘイブンへの移住や国籍取得も取りあげた。どんな国でもお金持ちが嫌いな国民におされ、高額所得者は恰好の批判対象となってしまう。同誌ではフランスの所得税率大幅引き上げを取りあげ、それに反発したモエヘネシーのCEOがベルギー国籍を取得したことを取りあげている。
 節税と脱税は紙一重であり、日本でも先日脱税の容疑で丸源ビルの川本源司郎オーナーが逮捕された。そこにある差は何か? 特集では"倫理"を1つの基準としてあげている。「妥当な納税」が行なわれる時代は? 永遠に来ないのかもしれない。


第2位
■週刊ダイヤモンド■ <<<  安いメガネのからくり

「買ったばっかりの眼鏡を手でどけて本を読む」なんて話があるが、これを笑い話ととるか、切実な話ととるか、で大体の年齢が知れてしまう。
 今週の『週刊ダイヤモンド』は「目にかかるカネとリスク」という特集である。読者の平均的年齢層は中年世代であり、近視のみならず、老眼を抱えて目には敏感にならざるをえない世代であるが故に、この種の特集が成立してしまうのだ。
 目にまつわる分野の技術の進展は日進月歩である。メガネからコンタクトレンズ、レーシック、眼内レンズとちょっと見ないうちに新しい技術が登場している。しかし、だからといって先端の治療がよい訳ではない、と同誌は説いている。自分に合った矯正・治療を見つけるべきであると。たとえば、一括りにレーシックといっても様々な方法があるのだ。本特集では、眼科医療の基本的な知識と方法別の比較、中高年が発症しやすい「目」の病気を分かりやすく説明し、加えて、矯正・治療の際に頼れる病院も紹介してある。目が健康だからこそ読むべき特集とも言えるだろう。その他、低価格メガネチェーンが儲かる秘密やコモディティ化するコンタクトレンズなど日常の何気ない疑問にも焦点を当てたところが同誌らしさだろう。
 第2特集は「大震災2年の試練 復旧か復興か」。震災に対して"まちづくり"という視点からの特集となった。使いふるされたタイトルだが、それでもこういうタイトルになるのはまだ復興ができていないことの証左である。


第3位
■ 日経ビジネス■ <<<  チェルノブイリから学べることは多い

 東日本大震災から丸2年の3月11日が発売日となった経済週刊誌だが、そのなかで『日経ビジネス』が「どうする『核のゴミ』」を特集した。先週あたりから、様々なメディアで東日本大震災に関連した内容のものが増えてきた。それに比べると経済4誌は、週刊『ダイヤモンド』の第2特集で「復興」を、『週刊エコノミスト』で「原発安全基準」の記事が1つとあまり誌面は割かれていない。理由として2年という歳月もなくはないが、それ以上に読者が知識も持ったことが大きいだろう。そして進展が順調とは言えない現状で、正面から捉えるのは難しい。
 本特集も冒頭の記事こそ福島における除染済みゴミの仮置き場が難航している現状を伝えたが、その後は核物質を軸にチェルノブイリとイギリスの2つの国に焦点を当て、現代の世界の動きから未来を考える形をとっている。また、核との向き合い方を示し、最終処分場などの決断は国民に委ねるべきであるといった論調で展開した。しかし、仮置き場ですら難航している日本がはたして、いつ最終処分場を建てられるだろうか。喚起することの大切さを感じる特集ではあるが、もう少し提起する踏み込んだものが欲しかった。それよりも、特集前のある時事深層のページにある「製造業、福島回帰のワケ」という記事の方が建設的な内容だった。立地補助金の効果もあるが、物流に好条件な立地である点や「だからこそ福島で」という思いが日本気質を感じさせる。
 また、海外展開の研究では良品計画を取りあげた「無印流『負けない』備え」で、11年間赤字からの大躍進の4つの理由に迫った。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<<  賃金は本当に上がるか!?

『週刊エコノミスト』の特集は「賃金を上げろ」。これまでリフレ、株高とアベノミクス効果を予測してきたが、今週は企業の賃上げを扱った。と言っても、2週間前の『日経ビジネス』のように新浪ローソン社長へのインタビューをするなど経営者に迫ることはせず、主要300社の賃上げ余力のランキングを特集の主軸に据えた。ランキングでは1位が任天堂、2位は国際石油開発帝石、3位は三菱地所となった。7位に石油資源開発、13位に東燃ゼネラル石油、16位昭和シェル石油、17位住友金属鉱山など資源大手が上位に並んでいるのが目立った。これは資源価値の変動や事業リスクの高さなどにより、強固な財務基盤を必要とされるからである。いずれにせよこのランキング通りに賃上げがされるなどは考えられないだろう。インタビューに答える甘利明経済再生担当相も、企業の協力が不可欠であることを述べるに留まっていて全体として小粒な感じが否めない印象だった。
 むしろ第2特集の「列島老朽化」とインフラの危機の方が面白かった。東京オリンピックの前の昭和30年代後半に作られた主要なインフラは、その老朽化により整備を迫られている。昨年の笹子トンネル事故が記憶に新しいが、あれは始まりにすぎない。社会インフラは経過年数が30年で何らかの補修・補強が、50年で抜本的な更新が必要になる。そして、集中的にインフラ投資が行なわれた60年代、70年代後半〜80年代前半に建てられたものが50年を経とうとしている。
 そこに、技術者の高齢化と地方人口減少による負担増が相まっている状態だ。よって、幅広い更新を同時に行なうことは難しい。そこで優先順位をつけることが必要になってくるのだ。
 実際にオーストラリアの一部の市やEUでは行なわれているが、ある程度は成功している。しかしながら、優先順位をつくること自体がネックになりやすい点もあるようだ。また、日本ではインフラの管理者が細かく分かれてしまっている点があり、問題も多い。縦割り行政の弊害と言えばそれまでなのだが。

2013年3月 6日

失敗から学ぶことよりも、成功から学ぶことの方が難しい

「右肩下がり」の12年間では異例の内閣支持率上昇

「右肩下がり」。
 バブル経済の崩壊や「失われた20年」ともいわれる経済の低迷期を経て、我々は売り上げや市場規模、収入などが段々と減ったり縮んだりするこの言葉に慣れてしまった。政権が発足してからの「内閣の支持率」も「右肩下がり」に慣れてしまった事柄の1つだ。
 日本経済新聞社などの世論調査によると、2001年4月に発足した小泉内閣から昨年9月発足の野田内閣までの7つの内閣で、①発足時②1カ月後③2カ月後の支持率が前回調査より上昇したことがあるのは、わずかに小泉内閣のときの「発足時→1カ月後」のみ。まさに我々は「ああまた下がっている」という世界になんの驚きも感じないようになっている。
 その意味で、2月下旬に発表になった安倍政権発足から2カ月の内閣支持率調査には、驚かされた。1月末の前回調査から2ポイント上昇して70%に。発足直後の支持率は62%、1月末は68%なので2回連続して支持率が上昇したことになる。「右肩下がり」が当然のものとなってしまった世界では、きわめて異例なことだ。
 支持率が上がっている要因は、新政権の経済運営への評価だろう。「安倍内閣の経済政策で景気の回復は期待できるか」との問いに対して「期待できる」は56%なのに対し「期待できない」は31%だった。

現政権の際立つ「失言」「失策」の少なさ

 調査期間中の2月22日には、安倍首相がオバマ大統領との日米首脳会談で、環太平洋経済連携協定(TPP)について「すべての関税撤廃を前提としない」ことを確認し、交渉参加へ大きく踏み出した。
 安倍政権の経済運営政策「アベノミクス」の「3本の矢(柱)」は「大胆な金融緩和と」「積極的な財政出動」「成長戦略」。1本目と2本目の矢については、2%の物価上昇率目標の導入で連携するとした日銀との共同声明や、公共事業増を柱とした2012年度補正予算・2013年度予算でしっかりとその方向性を打ち出していた。
 3本目の矢である「成長戦略」については、自民党の支持基盤である農業関係者から反対の強いTPP交渉参加を進められるかどうかが試金石になるとみられていた。政権発足からわずか2カ月で、TPP交渉参加へ1歩前進したことが、内閣支持率を高める1つの原動力になっている。
 この2カ月の安倍政権を見ていて感じるのは、「素直さゆえの思い違い」「単純な誤り」「失言」といった「失策」が少ないことだ。民主党政権下での3つの内閣と比べると、その少なさはより際だつ。
 念願の政権交代をなしとげ、70%を大きく超える高い内閣支持率で2009年9月に始まった鳩山政権。この内閣で国土交通相に就任した前原誠司氏は就任直後に「(群馬県の八ツ場ダムは)マニフェスト(政権公約)に書いてありますから中止します」とあっさりと建設中止を明言した。
 関係者によると、このとき前原氏は純粋に地元の群馬県や同長野原町のためになると考え、ダム建設の中止を明言したという。

反省点や教訓を書き綴った「安倍ノート」の存在

 だが八ツ場ダム事業は住民が反対するなか行政が計画を強行したというダム事業ではなかった。住民は賛成派がほとんどで、反対を唱えるのは地元には住んではいない人がほとんどだ。間違った情勢分析を基に「住民の大半はダム建設に反対している」ととらえたところから、八ツ場ダム問題の迷走は始まったといっていい。
 鳩山首相が普天間基地移設問題で「最低でも県外」と発言したのも、「沖縄県民のため」という善意から出たものだ。民主党政権では、こうしたお粗末な事例があまりに多すぎた。
 とはいえ、政権交代前の自民党政権もほめられた状態ではなかった。
 およそ5年半に及んだ小泉内閣を継ぎ2006年9月に発足した第1次安倍内閣も、その顔ぶれを「お友達内閣」と揶揄され、不祥事続きで支持率を落としていった。そして2007年9月の突然の退陣は「政権投げ出し」との批判にさらされた。現在の「第2次」安倍内閣で失策が目立たないのは、安倍首相や閣僚、そして自民党が「過去の失敗」から何かを学んだからだろう。
 1月27日付の朝日新聞によると、安倍首相には2007年秋の退陣後から気づいた反省点や教訓などをその都度書きつづったノートがあるという。首相はその教訓ノートを折に触れて読み返しつつ、政権運営に当たっているのだ。
 政権発足前から今までに立て続けに施策を提案し続け、内閣の支持率も上昇傾向が続けてきた安倍首相。まずは前回の失敗からさまざまな教訓をくみ取っているとみていいだろう。

「リスクオフ」から「リスクオン」に市場の姿勢が変わっただけ

 ただ今後、安倍首相がつまずく可能性があるとすれば、それはアベノミクスの効果を過大評価したときではないか。
 安倍政権誕生前から為替相場は円安が進み、株価も大きく回復した。内閣支持率が高まった大きな理由の1つはこの「円安株高」が進んだことにある。
 だがそれを「アベノミクスの成果」と見ることは危険だ。為替相場での円安と日本の株式市場で株高が進んだ最大の原因は、世界的な相場観が変化したことにあるからだ。
 昨年半ばまでは、ギリシャ経済の破綻やユーロの崩壊を恐れ、市場参加者がリスクを極端に回避する「リスクオフ」姿勢が支配的だった。ところがユーロ経済の落ち着きなどで、市場参加者がいっせいに、リスクを取ることに積極的になる「リスクオン」に転じ始めた。このことこそ現在の円安株高の主因だ。
 世界的な相場観の変化に、アベノミクスがうまく合致していたことは確かだが、物価目標の導入や積極財政、TPP交渉参加方針だけで、日本経済を変えられたわけではない。
「アベノミクスで日本経済が好転した」。首相がもしこのように見ているとすれば、それはまた新たな失敗のタネとなりかねない。人は失敗から学ぶこと以上に、成功から学ぶことは難しい。

今週の週刊経済誌の読みどころ_2013.3.06

今週の第1位は『週刊ダイヤモンド』

週刊ダイヤモンド ... もう騙されない保険選び
日経ビジネス ... 定年パニック
週刊東洋経済 ... 円安の罠
週刊エコノミスト ... 世界同時株高

 情報においてはネットが幅を利かせる時代ですが、それでも雑誌を読む時には、新しい発見を求めます。世紀の大スクープでなくとも、「へぇ」とか「ほぉ」とかいう情報があると楽しいものです。
 今週は『週刊ダイヤモンド』が保険の特集で、そんな記事を掲載していました。今全国で急速に増えている来店型の保険ショップには、とんでもないからくりがあったことを同誌は暴きました。業界の人は既に知っていることだったかもしれませんが、普通の人は知らないものですね。というわけで、詳しくは同誌をお読みいただきたいのですが、これが今週の第1位です。
 第2位はこの4月1日から本格化する「定年延長」の問題に切り込んだ『日経ビジネス』です。サブタイトルの<会社に姥捨て山を作らない方法>とあり、冒頭のリードのタイトルにも「アナタは『元部長』を有効活用できますか」とあるように、深刻なテーマとして描いています。
 第3位と第4位はどちらもアベノミクスがらみの特集です。で、まずは「円安の危険性」を前面に出した『週刊東洋経済』が第3位。本来第1特集だったと思われる「ネット炎上の処方箋」やユニクロのサービス残業の実態を扱った記事などもあり充実している分こちらに軍配を上げました。
 第4位の『週刊エコノミスト』は世界同時株高をテーマに世界の株式市場をウォッチしています。

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第1位
週刊ダイヤモンド■ <<<  公平・公正が売りの保険代理店の商法

「もう騙されない保険選び」と念を押した『週刊ダイヤモンド』。その言葉には、同誌が昨年4月に掲載した特集「騙されない保険」では、食い止められなかった事への自戒が込められているのだろうか。
 特集で注目すべきは、トップにある「来店型の保険ショップにご用心」。最近増えてきた来店型保険ショップには驚くべきからくりがあったというのがその内容。相談無料で商売が成り立つのは、商品販売による手数料があるからで、それ自体は当たり前で特に問題はないが、その背後に高額なインセンティブが存在するというのである。それも最高でなんと127%にもなる。意味の分からない名称のインセンティブが乱立した結果だ。さらに条件によっては「マッチング・ファンド」なる"退職金"も用意される。来店型の保険ショップはどの保険がその人にとって適切かを、公平・公正な立場から推薦してくれるのが最大の売りであり、だからこそ伸びてきた業態である。ところが、その裏にそんなスキームが存在したとは。今度、保険を勧められたら、内容と共に手数料も聞いてしまいそうだ。
 ことほどさように特集全編にわたって現状の保険への注意喚起がなされているが、結局のところ大切なのは「自分に合った保険選び」をすること。使い古されてしまったが、真を突いた言葉だということがしみじみ分かる。自分で選んでいるようで選ばされていたり、選択肢を狭めていたり。だからこそ、騙されてはいけないのだ。この特集を機に、自分の保険を見直してみてはどうだろうか。

第2位
■ 日経ビジネス■ <<<  40歳定年が幸せへの道?

 来年度から希望者の定年が65歳になる。産業界には賛否両論あるものの、否が応でも制度や働き方が変わってくるのは事実。そこで『日経ビジネス』は「定年延長パニック」と題し、実例を交え新しい会社と社員の関係を紹介した。サブタイトルは<会社に"姥捨て山"を作らない方法>だ。
 定年延長は人件費増加に直接的な影響を与える。その際、無闇に減給をすれば意欲の低下は目に見えている。かといって5年分の人件費を上乗せできるほど体力がある企業ばかりでもない。必要なのは工夫である。再雇用でコースを選択できたり、若手とコンビを組ませOJTの様な形をとらせたりする。自社に合ったシステムが企業を伸ばすのだ。ただし、相も変わらずボリュームが少ないので「人件費と意欲」のみへのアプローチとなったのは残念だった。
 また、もう1つの選択「40歳定年幸せ説」なるものを展開した。今後65歳を超えて70代まで働くようになる日本で、60歳定年では次のチャンスがない。40歳を定年として、よりブラッシュアップしたスキルで次の仕事を持つというものだ。面白い考え方ではあるし、1つの形なのだろう。ただし、誌面後半に書かれるメリットは詰めの甘いものだった。コラムではなく特集になる日を期待したい。
 ちょっと気になったのは、使われている言葉「意欲の低下」についてである。意欲(モラール:morale仏語)という言葉を使いつつ、同時に「モラルハザード(倫理の欠如)」という言葉も使っているのだ。そもそも「モラルハザード」を「倫理の欠如」と訳すのは日本特有(英語では誤用に近い)である。バブル崩壊後の金融関係の事件から使われ始めたように記憶しているが、同誌の特集の内容ではモラール(士気)の低下で、統一した方が良かったのではないだろうか。


第3位
■週刊東洋経済■ <<<  だから円安は危ない

 今週の『週刊東洋経済』の特集は「円安の罠」。『週刊エコノミスト』の特集「世界同時株高」と基本的には扱っているテーマは同じ。このところこの手の特集が多いのはアベノミクス特需の一言に尽きるだろう。同誌は、円安がもたらすであろう「危険性」にスポットを当てている。特集の冒頭では河野龍太郎氏の「アベノミクスのような極端な政策をとってはいけない」という言葉を紹介し、そのすぐ後には野口悠紀雄氏の「円安は、今の日本経済にとってはデメリットの方が大きい」というコメントを引用したりしている。もちろん同誌は日常生活における影響も取りあげるなどしているが、残念なことには、ページ数がちょっと少なかった。
 第2特集の「ネット炎上の処方箋」がしっかりとしていたところをみると、こちらが本来の第1特集だったのかもしれない。一個人の批判や非難という火種が、ソーシャルメディアの普及により大きな問題になり、「炎上」という言葉で代表される事態の悪化がよく目につくようになってきた。
「炎上マーケティング」などと言って、故意に行なうケースすら存在するが、企業としてはそうはいかない。正しいソーシャルメディアとの付き合い方が求められる。というわけで、特集では組織毎の対応や、理由の分類など今まで軽視されがちであった「炎上」への取り組みを紹介している。ただし、ここで示された解答を鵜呑みにしてはいけない。そんなことをすれば、次の特集では失敗例としては掲載されてしまう。自社に求められる距離を把握して、適した対応が必要とされる。もはや、ソーシャルメディアは、社員の顔まで透かしているのだ。
 加えて単独の記事だが、「ユニクロ疲弊する職場」がいいレポートだった。


第4位
■ 週刊エコノミスト■ <<< リフレの次はグレートローテーション

 今週の『週刊エコノミスト』は「世界同時株高」にスポットをあて、最近世界の市場関係者の間でよく使われる「グレートローテーション」の到来による株高の流れを説明している。先週「リフレ」特集もそうだが、次から次へと新語がでてくる。因みに「グレートローテーション(大転換)」は、リスク回避からリスク許容への転換を指す言葉。金融緩和により、安全資産であった債券では本来の利益をあげられず、リスク資産である株へ移行する傾向が出始めているのだ。日本もその恩恵にあずかれるか!? というところなのだが、残念なのは明確な方向性が得られないところだろう。まぁ、確実に勝敗が分かったら仕事にはならないからね。
 そういう意味で、はっきりしているのは新興国市場である。同誌は「ポストBRICs」として東南アジア諸国のいわゆるVIP(ベトナム、インドネシア、フィリピン)やトルコ、アフリカで成長著しいナイジェリアの上昇率をあげ、市場としての伸びしろの存在を示した点が面白かった。高い成長は各国からの資本が流入しているためである。人口増加などを考えれば必然的な流れでもある。 
 ただし、BRICsがそうであったように、これらの国もいずれまた成長のピークを迎える。それよりなにより、日本の経営者が目指すべきは、株高よりももっと大きな産業のグレートローテーションを起こすことだと思うのだが。